質問「信仰する以外のお寺にお参りするのは『浮気』ですか?」 - 我知(がち)ーお坊さんに聞いてみる(2024年6月5日)
【質問】
今信仰しているお寺以外のお寺にお参りすることは浮気のように感じてしまいます。しかし、以前お参りして御利益を感じたお寺にお礼参りに行きたい気持ちもあります。お礼の参拝はどこまでしてもいいのでしょうか。(30代男性)
【回答】
東條 哲圓(宝山寺執事長)
【我知なヒント=「浮気」かどうかはあなた自身が知っている】
信仰しているお寺以外のお寺にお参りすることに不安を感じてしまうのは、それによって何らかの罰、もしくはよろしくない事象が起きてしまうのではないかとお考えになっていらっしゃるからかもしれません。
初めにお答えすれば、何ら心配することはありませんので、ご自身のゆかりのある神仏に感謝やお礼を申し上げるためにお参りしていただきたいと思います。
では次に、なぜ質問者さまは複数の寺院に参拝することを「浮気」と感じてしまうのかについて考えてみたいと思います。
神にしろ仏にしろ、自分以外の神仏にお礼参りをしたからといって、罰を与える神仏はいらっしゃらないと思います。一神教の神ならいざ知らず、日本における神仏はおおらかです。
ただ、感謝やお礼ではなく、ご利益が欲しいがために、複数の寺院をはしごしているのならば、少々問題かもしれません。
それは、神仏の問題ではなく、あなたご自身の問題です。つまり、潜在的に心の奥深くで、その願いはかなわないかもしれないと考えてしまっているのではないかということです。
願いがなかなかかなわないからといって、その信仰をやめてしまえば、それこそ「浮気」になってしまいますので、あなたの願いを妨げる障礙(しょうげ=障害)があるかもしれません。ご自身がかなわないかもしれないと思えばかないません。
信仰している神仏にお願いをしたならば、あなたがすべきことは、その願いはいったん手放し、行く末は神仏にお任せして、安心してご自身ができる精一杯の行動をすることだと思います。
複数の神仏と御縁を結ぶのはとても良いことだと思われますが、この神仏を信仰しても願いがかなわないのではないかという不信から、神社仏閣をはしごするのは、避けた方が良いでしょう。
あなた自身がどうなりたいのかを常に心に思い描き、まっすぐなお気持ちで神仏と相対するならば、神仏は必ずあなたの後押しをしてくださると思います。
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【回答者】
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【掲載日】
毎月第1、3水曜日「暮らし」のページ・奈良新聞デジタル