OSK日本歌劇団OG公演 5月3、4日 大阪松竹座~『生まれ故郷』で気迫のステージ
今年創立102年目を迎えたOSK日本歌劇団のOG公演「Eternal Glory」(吉峯暁子構成・演出)が5月3、4日の両日、大阪松竹座(大阪市中央区)で上演される。
初日にさきがけて2日夕、同劇場でゲネプロ(舞台稽古)を実施。現役時代から稽古につぐ稽古で磨き上げた確かな技芸と、劇団解散の危機さえ乗り越えたパワーに裏打ちされたステージは、長年OSKを応援してきたファンはもちろん、OSK初観劇の観客も存分に楽しませるエンターテインメントに仕上がっている。
1923年の大阪松竹座開場を前に、同劇場専属の舞踊団として1922年に誕生したOSK。世代を超えて『生まれ故郷』に結集したOGが舞台上から発散するのは懐かしさ以上に、『今、この時』にかけるリアルタイムの輝きだ。
出演は嵯峨みさ緒(さが・みさお)、東雲あきら(しののめ・あきら)、洋あおい(ひろ・あおい)、桜花昇ぼる(おうか・のぼる=奈良県斑鳩町出身)、高世麻央(たかせ・まお)の歴代トップスターや元特別序列の吉津たかし(よしづ・たかし=奈良県宇陀市出身)ら計53人。制作や振り付けでもOGが活躍している。
第1部「Eternal Dream」は洋、桜花、高世による祝舞で開幕。続いてOSKが1967年から2003年まで本拠地としていたあやめ池円型大劇場(奈良市、2004年閉館)、1987年から数々の大作を上演した近鉄劇場(大阪市、2004年閉館)、2004年4月、66年ぶりの「春のおどり」復活から続く大阪松竹座公演に加え、京都南座、東京・新橋演舞場での公演の主題歌をメドレーで披露。主題歌メドレーのトップバッターは嵯峨が務め、男役姿で「愛のメモリアル」を熱唱。「大津皇子」を歌い上げた東雲とともに、衰えを知らぬ歌唱力、表現力を印象付けた。
これだけでも充実の内容だが、上演時間60分の第1部はさらに盛り上がる。粋な日舞の「深川マンボ」、娘役が大人の魅力をふりまく「タッチ・ミー」、OSKの『お家芸』ともいうべきラテンの群舞、スーツにソフト帽で男役の美学全開の「テイク・ファイブ」など、これぞOSK、というエッセンスをちりばめた「想い出の名場面集」はOSK観劇歴にかかわらずレビューファンの心をつかむだろう。
30分の休憩をはさみ、第2部「Eternal Passion」は70分。5人のトップスターがセルフプロデュースした各パートに続いて、「ビロードの夢」(藤浦洸作詞、服部良一作曲)、「ビバ!OSK」(横澤英雄作詞、中川昌作曲)、「虹色の彼方へ」(海野洋司作詞=原案・岩野恵造、宮川泰作曲)のメドレーがあり、1930年から歌い継がれているOSKのテーマソング「桜咲く国」で締めくくる。
OSKは2003年、当時の親会社の支援打ち切りにより解散したが、劇団員有志が「NewOSK日本歌劇団」として懸命に存続の道を探り、2007年に再び、OSK日本歌劇団と改称して見事、存続を果たした。
今回は解散以前のOGと存続期以降に入団したOGが世代を超えて共演。最上級生として存続運動を牽引し、66年ぶりの「春のおどり」に出演、2006年、大阪松竹座「秋のおどり」で退団した吉津は「『NewOSK』を知らない上級生と『NewOSK』以降に入団した下級生、みんな空気が一緒なんです。ちゃんとつながっているんだ、と実感しました」と話した。
ちなみに、だれもが楽しめる作品ではあるが、同期生の共演や初演メンバー中心の場面を感慨深くながめ、世代の離れたOGが同じ場面で違和感なく共演しているのを見つけて頼もしく思う。やはりこれは、観劇歴の長いファンの特権。世代ギャップを感じさせない適材適所のキャスティングは元座付き作家で解散前の最終公演「Endless Dream~終わりなき夢」(2003年、近鉄劇場)の構成・演出も手がけた吉峯ならではの功績であろう。
ゲネプロを終えた吉津は「観ていただいた通り、みんなの気迫がすごい。このような機会をいただけたことに心から感謝して、大げさではなく、全員、命がけの覚悟でやっています。朝ドラ『ブギウギ』を見て初めて来て下さった方にも『これがOSKか。現役の舞台も観てやりたいな』と思っていただきたい。それだけの迫力をお届けできると自負しています。そして現役の劇団員も私たちの舞台から受けた刺激を大事にしてほしいと思います」と未来を見据えた。
🌸OSK日本歌劇団OG公演「Eternal Glory」公演情報🌸
5月3日12時・16時30分
5月4日12時・16時30分
S席8500円、A席4500円、B席2500円
チケットホン松竹、電話=ナビダイヤル:0570(000)489、または電話:06(6530)0333。
※全公演とも残席ごくわずか。