出番を待つ奈良県出身の藤高宗一郎 - バンビシャス奈良
高い身体能力、守備に期待
「試合に出られなくても、自信を無くさず腐らずにいろよ」。バンビシャス奈良で4シーズン目となる藤高宗一郎は、いつもそう自分に言い聞かせていた。コロナ禍の真っ只中、2020―21シーズンにB1の大阪エヴェッサから移籍し、県出身ということもありチームの顔として多くのファンをつなぎとめてきた。バンビシャスではディフェンスに力点を置きながらも、1試合平均4点前後を挙げてきた。それが今シーズンは1・1点と低迷し、出場時間も落としている。「もっと試合に出たい」と本音を隠さない。
「プレータイムが短いと自分が何とかしたいと欲が出てしまい、チームプレーよりもつい自分のタイミングでアタックしてしまう」。その結果、無理なシュートを打つことになり、リバウンドを奪われて速攻を食らい、失点につながることも少なくなかった。そうかと思えば、ベンチスタート選手の宿命でもあるが、悪い流れの時にコートに立たなければならないこともあり、「ミスできない状況にプレーが消極的になってしまうこともある」と正直に自分の心情と向き合う。
大阪時代は、日本人としては数少ないダンクシュートを決める選手として名をはせてきた。「自分の良さはゴールにアタックするところ」と自認もしている。しかし、年齢を重ねてチームメイトに若手も増え、「僕じゃなく他の選手が攻めるべき時間帯なのではないか」と、どこに軸足を置いてプレーすべきか模索しているようにも見える。
小野HCは「フィジカルを生かしたディフェンス」を藤高に期待する。藤高自身も「まずはディフェンス」と言い続けてきた。短いプレータイムであっても、高い身体能力で確実に相手シュートを狂わせ、失点を防いでいる。
「応援してくださっている方がたくさんいる。僕が腐っているところ見に来たわけじゃない」。たとえ試合に出られなくても、藤高はいつ呼ばれても大丈夫なように準備しながら、出番を待ち続ける。