奈良県高取町の「町家の雛めぐり」最後の開催 集大成を華やかに、風情ある街道に人形並ぶ
奈良県高取町・土佐街道の名物イベント「町家の雛(ひな)めぐり」が今年で終了する。2007年に始まり18回目だが、運営を担う住民の高齢化で継続が困難になったという。最後の開催となった今年は、城下町の風情が残る町家や商店約50軒のほか、メイン会場に17段約500体の人形が並び、華やかな姿が訪れる人を楽しませている。31日まで。
町出身の野村幸治さん(81)が退職後に地元へ戻り、地域活性化に取り組む住民グループ「天の川実行委員会」を06年に結成。家に眠っているひな人形を飾ってもらえるよう、街道沿いを一軒ずつ頼んで回ったのが始まり。
第1回目には約40軒の協力を得て、1カ月の期間中に8千人以上が訪れた。年々増え、ピーク時には約100軒が参加、来訪者も5万人近くに達した。09年から昨年まで毎年10月に実施していた「かかし祭り」と並ぶ町の人気イベントに成長した。
しかし、実行委メンバーや地元住民の高齢化が進み、準備などに労力がかかることから継続が難しいと判断。かかし祭りと同様に、今回を最後と決めた。
メイン会場のひな人形は住民などからの寄贈で、中には幕末の文久3(1863)年作とされるものも。今後は会場の雛の里親館で保管されるという。
今回も昨年12月から準備してきたといい、実行委副代表で野村さんの妻、美千子さん(74)は「これまで精いっぱいやり切った。集大成として多くの人に見てほしい」と話す。
発足メンバーの中川圭史さん(77)は「メンバーが減り、1カ月間の運営も大きな負担。商工会など町の各種団体に継続をお願いしている。期間や規模を縮小してでも続けてもらえるとありがたい」と期待する。
近くの壷阪寺では本尊十一面千手観音などと計4千体のひな人形が礼堂と大講堂に並ぶ「大雛曼荼羅(まんだら)」も同時開催(4月18日まで)。
町家の雛めぐりの問い合わせは町観光案内所「夢創館」、電話0744(52)1150。