音羽山観音寺後藤住職の花だより - フジバカマとアサギマダラ編 2023年11月上旬
関連ワード:
ひと月ぶりの音羽山観音寺の参道は、鹿が食べない有毒マムシグサの実で赤々としていました。またお茶の白い花がたくさん咲いていて、門のところも、うっすらとモミジの紅葉が始まっていました。昼間は気温が高いといわれる日。虫たちも活発に動いていました。
門のところのモミジ
チョウにやさしく 害虫はすぐ退治
庭でハチたちがブンブン飛び回っていました。住職がその中にいたスズメバチを見つけて網でキャッチ。参拝者に何かあってはいけないと思ったのか「ナンマンダブ。ナンマンダブ」といいながら処分していました。
スズメバチ(おそらくキイロスズメバチ)をすばやく捕まえる住職
朝のお地蔵様へのお供えがまだだったので、急いで庫裏に戻ります。玄関にスズムシのカゴを置いています。
「スズムシはもう終わりね。最後のオスがリンリンではなくて『ヘラヘラヘラ』って鳴いてるわ」
さて今年はカメムシが大量発生。大きなカメムシばかり目につきます。
「カメムシ退治用のペットボトルを作ってすでに何匹か入っているけど、フタを開けるのも臭くて嫌なの。本当は臭いを出す前に外に追い出せればいいのだけれど」
キッチンの壁、水道栓、ギンナンが入ったかごの中、数えたらきりがないくらい室内に忍び込んでいました。
雨が降り出しました。ハチたちは姿を潜め、無量庵の窓からはチョウの重みで垂れ下がったフジバカマが見えました。
「あら、アサギマダラだわ」
アゲハチョウと同じくらい大きなアサギマダラ
アサギマダラはフジバカマの蜜を吸い、約2000km飛ぶことができる大型のチョウとして有名です。
「フジバカマが咲くころからときどきお寺に来てくれているの。でも今年来る子(アサギマダラ)は1匹ずつだったわ。去年まではペアで来ることもあったのに。これも異常気象のせいかしら?」
アサギマダラはカメラのシャッター音に敏感で、一時ふわっと飛びましたが旋回して戻ってきました。バタバタと羽を動かすアゲハチョウと違って、フワフワ飛ぶアサギマダラは羽を動かす回数が少なく浮力が大きくて優雅に見えます。
「温暖化だから南に移動するのが遅れちゃたのかしら?」
アサギマダラを見ながらそうつぶやくのでした。
音羽山観音寺
山の中にある尼寺。桜井市南音羽
JR・近鉄桜井駅下車、桜井市コミュニティバス談山神社行、下居下車、約2km。火曜日閉門。
17日の御縁日が火曜日の時は開門、翌日閉門