奈良・正倉院で「開封の儀」 勅使ら19人、一列に
奈良時代の聖武天皇が愛した品々などを伝える奈良市雑司町の正倉院で4日、「開封の儀」があった。年に1度、宝庫の扉を開ける儀式。11月30日の「閉封の儀」までの約2カ月間、宝物の手入れや調査点検、防虫剤の入れ替えが行われる。
宮内庁正倉院事務所の飯田剛彦所長を先頭に、天皇陛下の使いである勅使(ちょくし)の松永賢誕侍従や、東大寺の橋村公英別当ら関係者19人が一列に進み、手や口を清めてから西宝庫へ入った。宝庫内には宝物を納めた六つの部屋があり、それぞれの扉に付けられた麻縄の封を切った。
宝物の一部は10月28日から11月13日まで、奈良国立博物館(奈良市)で開かれる「第75回正倉院展」で公開。仏教に対する聖武天皇の篤い信仰を象徴する名宝「九条刺納樹皮色袈裟(くじょうしのうじゅひしょくのけさ)」や、螺鈿(らでん)で飾った大型の銅鏡「平螺鈿背円鏡(へいらでんはいのえんきょう)」など59件が出陳される。