音羽山観音寺後藤住職の花だより - 池じまいとイチョウの木編 2023年8月上旬
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イチョウの木の工事が終わってから初めて訪れる音羽山観音寺。見たところ特別変わったようすがありません。変わったといえば、池に金魚がいなくなったことくらい。実はイチョウの木は池とかかわっていたのです。
イチョウの豊作願い 青い実がちらほらと
県の天然記念物、樹齢600年のお葉付イチョウの木が弱ってきて、根元の砂利をプラスチックに替える話は聞いていました。
「工事で根元を掘り返した時、砂利がたくさん出てきたの。何かに使えそうと思ってわくわくしてたのよね。そしたら工事の人が『この砂利はまた使います』なんて言うのよ。プラスチックネットみたいなのを敷いて、その上に砂利を戻すの。そんな工事だったの」
イチョウの根元は工事後とは思えないくらい見た目は以前と変わりません。
見上げると8月の上旬だというのに、ギンナンの青い実がぷっくり膨らんでました。
ギンナンが鈴なり
「わぁ。今年は豊作かなぁ。でも洗濯機で浮くのが多いと不作なのよ。ちゃんと木で熟してから落ちたのがいいのよね。昨年で5kgくらい採れたかな。一昨年前は不作で、1kgなかったのよ」
昨年の年末、記者もギンナンの種を取る作業をしました。その独特な臭いに、手術用のエプロン(使い捨て)をして手はゴム手袋を着用。玄関で作業したことを思い出しました。種だけになってから外にある洗濯機で水洗いします。種同士がぶつかって残っていた果肉がきれいに取れるのです。
池の水が流れる先 池はもうおしまい
金魚は工事の前に潤子さんの家に持って行ったと手伝いの人から聞きましたがー。
「もう池も古くてね。どこからか水もれしていたの。工事のために池に注いでいた山水を止めたら酸素不足になっちゃって、金魚さんにお引越しいただいたの」
池から流れる水はイチョウの根元に届くようになっていました。それがイチョウにとって良くないのだとか。さらにイチョウから流れ出た先は、登山道のクリンソウのところでした。
「登山道のところにあるクリンソウは、その水で大きくなっていたのよね。水が止まって干からびちゃったわ」
そう言いながら住職はクリンソウになった気持ちで頭を傾けていました。
「それに池に落ち葉がたい積しちゃってガスも発生してたのよね」
役目を終えた池に、ほんの少し水が残っているようです。
「池にいたのは金魚だけじゃなかったの。イモリもたくさんいてたの。秋までに池に網張らないとね。ギンナンが落ちたら大変だわ」
住職の頭の中は、もう秋になっていました。
住職等身大のパネルにイナゴがとまっていた
音羽山観音寺
山の中にある尼寺。桜井市南音羽
JR・近鉄桜井駅下車、桜井市コミュニティバス談山神社行、下居下車、約2km。火曜日閉門。
17日の御縁日が火曜日の時は開門、翌日閉門