奈良県上牧町職員が8月に特攻隊悲話の朗読劇 脚本、演出、照明なども自分たちで
奈良県上牧町は8月4、5の両日、町職員による特攻隊悲話の朗読劇「最期の恋文―会いたい 話したい―」(奈良新聞社など後援)を同町上牧の町文化センターで上演する。手話通訳もある。併せて8月2日から、平和祈念資料展「もう…あの悲涙は流すまい 特攻隊と知覧」も同センターで開催。15日まで。いずれも入場無料。予約不要。町外の人も観覧自由。
【若手職員が特攻隊員役】
朗読劇は知覧特攻平和会館(鹿児島県南九州市)が所蔵する資料をもとに、上牧町秘書人事課の高木真之課長(57)が脚本・演出を担当。出演者、照明、音響、メイクなどの舞台裏も町職員が担う。
物語の舞台は、1945(昭和20)年春の第二次大戦末期、本土最南端の特攻基地、鹿児島県知覧の軍指定食堂「富屋食堂」。出撃していく隊員の心情や、とりまく人の悲しみを描く。朗読劇では、20〜30代前半の若手職員が舞台衣装の軍服を着て特攻隊員を演じる。
【仕事のあと稽古に励む日々】
7月28日、同センターで記者会見した今中富夫町長は「平和と命の大切さを訴える活動を続けていきたい」とあいさつ。
昨年、町制施行50周年を記念し、初めて朗読劇を催したところ、「心に響く。続けてほしい」と町民から要望があったという。
職員のほとんどは、朗読劇が初舞台。私財を投じ、特攻隊員を支えた富屋食堂の店主、トメを演じる町文化振興課の安達裕代さん(57)は、「朗読は素人ですが、表情や感情の部分も気を付けながら頑張りたい」と話す。職員らは本番に向け、日々、定時終了後の稽古に励んでいる。
8月4日は午後2時、5日は午前11時開演。このほか、町立中学生約500人の平和学習のために上演する。
平和祈念資料展は、知覧特攻平和会館が所蔵する写真のパネル約30点を展示する。
開場時間は午前9時から午後5時(2日は同1時から、15日は同3時まで)。月曜休館。問い合わせは、町秘書人事課、電話0745(76)2501。