大和と沖ノ島の祭祀に共通点 葛城地域集団が関与か - 橿考研で研究講座

奈良県橿原市畝傍町の県立橿原考古学研究所で21日、第2回研究講座「大和と沖ノ島の祭祀を語る」が行われ、歴史ファンら約370人が参加した。
同研究所付属博物館で開催中の春季特別展(6月18日まで)の特別展に合わせて全3回開催。今回は同研究所企画学芸部学芸係長の青柳泰介さんが「大和の水辺の祭祀と沖ノ島祭祀」をテーマに講師を務めた。
青柳さんは大和の豪族分布図などを示し、「古墳時代前期後半、発言権のなかった葛城地域集団は朝鮮半島に活路を求め、百済に接近して力をつけていったのでは」と推察した。
朝鮮半島に向かう途中には沖ノ島があり、大和の水辺の祭祀と沖ノ島祭祀には山を起点としていることや、祭祀(さいし)遺物など多くの共通点がみられ、「葛城地域集団が沖ノ島祭祀の開始に関与した可能性がある」と指摘。同集団の新たな本拠地(南郷遺跡群)造営にあたり、山、磐座(いわくら)、水をベースにした地域設計を行い、「その核として南郷大東遺跡の導水施設での『水のまつり』を据えたのではないか」との見解を示した。
京都府立大学文学部の諫早直人准教授による「馬具からみた沖ノ島祭祀」と題した講座も行われた。第3回研究講座は6月11日、「沖ノ島出土品研究の最前線」をテーマに開かれる予定。