揺らぐ観念、大胆に表現 妖怪書家・逢香さんが大阪で個展
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本誌連載の「逢香の華やぐ大和」などで奈良の魅力を発信する書家、逢香さん(29)の個展「妖怪ユニバース」が、大阪市中央区日本橋2丁目のギャラリー「日本橋の家」で開かれている。21日までの金、土、日の正午〜午後7時。入場無料。
建築家の安藤忠雄さんが設計した間口2.9メートル、奥行き15メートルの4階建ての空間は、壁も階段もコンクリートの打ちっ放し。一歩足を踏み入れると墨の匂いが漂い、アクリル板で制作された妖怪たちが出迎える。
展示作品は約40点。書とモザイクを組み合わせて「あいまいさ」を表現した新作「老若」と「男女」をはじめ、逢香さんの代表作で妖怪と人間を対比させた「女って怖い」は、大きな作品で展示。江戸時代の妖怪たちがスマホを眺めたり点滴を打っていたりと、くすりと笑える作品も並ぶ。制作過程の書き損じの「反古(ほご)紙」を細かく切ってつるした部屋では、風が吹くたびゆらゆらと揺れ、不思議な空間が広がる。
妖怪書家として活動する逢香さん。きっかけは、奈良教育大学生のとき、現在の漫画本のような「草双紙」の面白さに魅せられたこと。変体仮名と書画に興味を覚え、創作の妖怪画を描いているという。
逢香さんは「以前は住居だった安藤忠雄さんの建築に、今は妖怪が住むコンセプトで、墨と和紙であいまいな世界観を表現した」と話す。
逢香さんの在廊日は、13日、20日、21日の予定。SNSで更新している。