音羽山観音寺 後藤住職の花だより - 鹿の害編 2023年春
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観音寺の境内に入るにはフェンスの扉を開けないといけません。フェンスに「鹿が入るため扉をしめております。ご自分で開けて入ったら、しめておいて下さい。音羽山観音寺」と書いています。本来、夜行性の鹿が昼間も活動しているようです。
裏山の笹が全滅に 鹿の多さに閉口する
住職の庭は秋の七草が全部あるそうです。
「クズは野生のもので裏山にあるのよ。昔はこの辺り、クズもたくさん生えていたのよ」
それも鹿に食べられたのかと思っていたら、「イノシシなの。クズの根を掘り起こして食べたみたい」
寺の周りをフェンスとネットで囲んで動物避けにしています。裏山のネットが古かったときに、イノシシが入り込んでいたそうです。
「イノシシが掘ったあと、岩がごろごろ表面に出てきてね。1トンの岩がころがって雨戸に当たったのよ。雨戸もサッシも内障子までぼろぼろ。当たった時に火花が出たのか、熱を帯びたようなにおいで焦げくさかったの」
そのイノシシがいたエリアもイノシシが少なくなって、鹿が生息するようになりました。
「その辺りに生えていたウド、ササユリ、ミョウガを鹿が食いつくして、とうとう笹も食べるようになってしまったの。犬のスイカが生きていたころ、遊んでいた腰の高さまであった笹やぶも、もうないのよ」
笹の葉も食べられて
寺から展望台は特に増えているそうです。
「すみかになっているんじゃない? 食べると中毒を起こすタケニグサばかり育ってしまって。タケニグサは背丈ほど育つから刈り取ってしまわないと大変だわ。それから1本しかないヤマボウシにトリカルネットして保護しないと鹿に木の皮を食べられちゃう」
記者も何度か寺の周りで鹿を見かけたことがあります。
「鹿って体が小さいうちから出産できるのね。参道の一番下にあるお地蔵さんの前で、大中小の鹿を見たけど、小さい鹿に乳を与えていたのが中くらいの鹿だったわ。これはまだまだ増えるわね」
境内の外でクリンソウが育っています。住職が大好きなクリンソウです。鹿に食べられないのでしょうか。
「毒草らしいのよ。クリンソウだけ大丈夫みたい」
境内の外のクリンソウ。生き生きとしている
今年、春の花は早めの開花。もう少しで咲いてくるそうです。
音羽山観音寺
山の中にある尼寺。桜井市南音羽
JR・近鉄桜井駅下車、桜井市コミュニティバス談山神社行、下居下車、約2km。火曜日閉門。
17日の御縁日が火曜日の時は開門、翌日閉門