興福寺で放生会 殺生戒め魚を放つ

奈良市登大路町の興福寺(森谷英俊貫首)で17日、殺生を戒める仏教行事「放生会(ほうじょうえ)」が営まれた。猿沢池に魚を放す儀式では、事前に池から採取したモツゴ約500匹をスロープを使って放流した。
境内の一言観音堂で法要を営んだ後、僧侶らが猿沢池まで移動し、般若心経を唱えた後、おけに入ったモツゴを放った。同祈とう申し込み者と市立椿井小学校の生徒30人が続けて放流した。
法要後、森谷貫首は「命を大切にしていただく意義が伝わればと魚に託しました。今年は小学生にも参加いただき、町ぐるみで考える法要になりつつあるのでは」と話した。
同小学校4年生の西山柚葉さんは「元気に育ってねという気持ちで放流した」と笑顔で話した。
以前は金魚を放流していたが、猿沢池の生態系に影響を与えるとの指摘を受け、2020年から池に生息する在来種の魚を放っている。魚の採取や調査は近畿大学農学部の北川忠生教授の研究室が協力。
北川教授は「外来種は減ってきているが、メダカや金魚などペットで飼われていた魚も見つかっている。在来種の生態系を壊すので放さないでほしい」と話した。