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音羽山観音寺 後藤住職の花だより - 新年編 2022年12月31日~2023年1月1日

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鐘をつく住職

 12月31日23時45分、住職が1番の鐘をつき終わると、集まった参拝者で順番に鐘をついていきます。12月末に降った雪がまだ屋根に残っているものの、寒さは少しやわらいでいるように思います。ゴーン。鐘の音とともに音羽山観音寺に新年がやってきました。

 

 

街灯ない参道を歩く かがり火のお出迎え

 

 夜の参道は本当に真っ暗。コンクリートの参道は街灯一つありません。懐中電灯を頼りに参道を歩きます。光が当たったところだけ道があるのが分かります。

 

携帯電話で撮影。実際はもっと暗い

 

 背の高い杉に空がおおわれて星明りも届きません。電気を消してみたら、木々の隙間から濃紺の空がかすかに見えるだけでした。聴覚が研ぎ澄まされ、のぼり旗が風でバタバタいう音、薮の中からバキッという音が聞こえると身構えるほど敏感になってしまいます。モノレールの下までたどり着くと、ようやくお寺の灯りが見えました。

 

ようやく見えたお寺の灯り

 

 暖を取るためのたき火が2つ、かがり火があたりを照らします。FさんとBさんはたき火の世話で忙しく動きます。もうすぐ除夜法要が始まるころにBさんが、たき火の中を火かき棒でかき回していました。

 

 「たき火にイモを4つ入れたんだけどないなぁ。あっちのたき火Fくんが2つ入れてたけど、どっちも炭になってるんちゃうか?」というBさん。

 

 後で住職に聞いてみると、「食べてるの見てないから消し炭になってたんじゃない?次々薪を入れてたしね」と笑います。

 

 暗くてあまりBさんの表情は見えませんでしたが、きっと残念そうな顔をしていたはずです。

 

除夜法要のため本堂に集まる人々

 

 法要が終わり、鐘撞堂に人が集まりました。今年は、学生たちのお手伝いが率先して動いていました。学生の会話で、「何人集まっている?」「12人」「じゃあ1人8回の鐘つきだね」。「8回って…」住職もあきれ顔。そのうち人数が増えてきました。「1人3回」という決まりごともできて、順番に鐘をついていきます。

 

 1つ、つくと1つミカンを手渡されます。108個のミカンを用意して、つく数を間違えないようにしているのです。

 

 昨年はミカンかアメ、選べましたよねという記者の質問に、「ミカンの値段が高い時はアメばっかりになった年もあるの」と笑いながら住職が話します。

 

 下山するときはみんな一緒に。先に行く人の懐中電灯のあかりが見えて、うれしくなりました。今年はきっと先が明るい一年になるに違いありません。

 

 

 

音羽山観音寺

山の中にある尼寺。桜井市南音羽

JR・近鉄桜井駅下車、桜井市コミュニティバス談山神社行、下居下車、約2km。火曜日閉門。

17日の御縁日が火曜日の時は開門、翌日閉門

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