文化財防災を学ぶ 奈良教育大学付属中学生、模擬仏像搬出も体験

奈良教育大学付属中学校(奈良市法蓮町)の1、2年生12人が28日、同市八条5丁目の市消防局を訪れ、奈良が誇る貴重な文化財を火災から守るための取り組みを学んだ。同校は本年度、「アクサ ユネスコ協会減災教育プログラム」(日本ユネスコ協会連盟主催、アクサ生命協力)の助成校(26校)に選ばれた。「私たちの町『奈良』を守り続けるために、今何が必要か?」をテーマに実践活動を展開しており、5日には東大寺(同市)の防火設備を見学した。
12人は同校部活動ユネスコクラブと有志の生徒。講師となった中谷英之・市消防局文化財防災官の話を聞き、1998年に発生した東大寺千手堂の火災で、仏像を運び出す際に仏像の各部位が脱落して損傷した経緯を学んだ。
この火災を機に、市消防局が搬出訓練のためにつくった「模擬仏像」を通して、頭部や本体、光背などの搬出がいかに大変かを体験。重さ約30キロある本体を仏像搬出用担架に乗せて8人がかりで持ち上げ、その重量も体感した。その後、救助工作車やポンプ車を見学し、資機材についての説明を受けた。
1年生の井上慎也さん(13)は「人の命も大事だが、今も昔も仏像が大切にされてきたことが分かった」、尾下遥香さん(13)は「近所の寺にある仏像も手が欠けているので、どのような経緯があるのか聞いてみたい」と文化財に興味を持った様子で話した。