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新たなステージへ 奈良クラブ創設者の矢部さん、喜びと決意と - 奈良クラブJ3昇格へ

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インタビュー中のフリアン監督にチームの創設者として呼ばれた矢部さん(右)=5日、奈良市法蓮佐保山4のロートフィールド奈良

 終了間際の劇的ゴールでJ3昇格を決めた奈良クラブ。クラブ創設者で現在はチーム強化担当の奈良市出身の元Jリーガー矢部次郎さん(44)は、試合終了のホイッスルの瞬間、涙をぬぐった。試合前は「いつも通り客観的に試合を見る」と冷静だったが、「喜ぶ選手やクラブを思うみんなの感情が乗り移った」と照れ笑いを浮かべた。

 

 奈良クラブは、矢部さんの地元への思いが形になったチームだった。2008年の創設以来、クラブ運営のほか、選手、監督、ゼネラルマネジャーも務めるなど、大車輪の活躍でチームを引っ張った。

 

 だが2019年に観客の水増し問題が発覚。その後はチームや選手を裏から支える役割を担ってきた。新戦力のスカウトや選手のトレーニングのチェックなど、勝てるチームにするための総合力アップや選手のコンディショニングに心を砕き、チームの進化に手応えも感じていた。

 

 この日の試合後も喜びを爆発させる選手を一歩引いて見守ったが、矢部さんの功績は誰もが分かっていた。

 

 フリアン監督はインタビューで矢部さんを呼び出し、サポーターも矢部コール。選手から胴上げされ、古くからのファンはスタンドから祝辞を贈った。「チームにも迷惑をかけたので、Jリーグ昇格は応援をしてくださった方々への恩返しと思っていた」と安堵の表情を浮かべた。

 

 一方で「Jが全てではない」とも。市民に愛されるクラブになることは、創設以来の大きな目標だった。トップ選手から育成途中の幼い選手まで、クラブにかかわる全ての選手が応援してもらえるクラブになるため、新たな一歩を踏み出そうとしている。

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