奈良県川上村の河川で外来種増殖 村漁協が「10センチ1000円」で買い上げ駆除

吉野川の源流、奈良県川上村内の河川で、ヨーロッパ・西アジア原産のサケ科の川魚、ブラウントラウトが増えていることが分かった。地域の生態系に影響を及ぼすため、外来生物法に基づき適正な管理が必要とされる外来種。村漁業協同組合は「10センチ1000円」で買い上げ、繁殖や定着を食い止めようと取り組んでいる。県も食害の調査を始めた。
村漁協が買い上げ制度をスタートさせたのは昨年。対象期間をアマゴ・アユの漁期に当たる3~9月に限り、2021年は60匹を買い上げた。22年は6月末現在で18匹となっている。
村漁協によると、村内の河川にブラウントラウトがいると情報が入ったのは約5年前。堀谷正吾組合長(68)は「初めは珍しい魚がいるらしいというぐらいだったが、21年から急に増えた。放置せず、早期に対策が必要だと考えている」と危機感を募らせる。大滝ダム湖に滞留し、村内全域の支川に入り込んでいるとみている。
3~4歳魚で20~50センチになり、魚食性を強めるため、アマゴやアユの食害も警戒。県農業水産振興課は今年、近畿大学と連携し、同じく外来種のチャネルキャットフィッシュやコクチバスと合わせて胃内容物の調査を始めた。食害が確認されれば効率的な駆除方法などを模索することになる。
一方、ブラウントラウトは「うまいサーモン」のような食味の良さと釣りの楽しさでも知られる。アマゴ狙いの餌に食いつかれると細い釣り糸は切れてしまうが、ルアーだと釣り上げることができるという。
堀谷組合長は「生態系保全のため協力してもらえれば」と釣り人の腕に期待している。
村内のアユ遊漁料は日券3000円、年券8000円。問い合わせは村漁協、電話0746(52)0543。