茶の間の話題に上ったのは入場料が発表さ…
茶の間の話題に上ったのは入場料が発表された時ぐらいだろうか。開幕まで1年を切った大阪・関西万博が盛り上がらない。
参加・出展する企業や団体を対象にした共同通信のアンケートでは、課題を「国内の機運醸成」とする回答が82%に上った。会場整備費の上振れや工事の遅れ、出展国の減少など、マイナスに振れた話題ばかりが聞こえてくる。
先日訪れた東大寺で、回廊脇で金色に輝く巨大な相輪を見上げた。1970年の大阪万博会場に登場した七重塔の最上部を飾ったものだ。
塔の高さは86メートル。かつて東大寺にそびえていた東西2基の七重塔を模して造られ、最上層の展望施設から会場全体が見渡せたという。
「古代の夢と現代の夢」をテーマにした古河グループのパビリオンで、奈良時代の人々が七重塔に映した夢を未来と結んだ。鉄骨を用いて1年で完成したというから驚く。
半世紀を経て再び巡ってきた今回の万博は、「幸福な生き方とは何か」を問う初の万博という。時代が違うとはいえ、目指すところの難解さも機運低調の一因では、と改めて思った。(増)