「三筆」の一人、空海の筆遣いを香川大学…
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「三筆」の一人、空海の筆遣いを香川大学の研究チームが人工知能(AI)で再現した。空海の真筆は最澄に宛てた手紙「風信帖」などがあり、現存の史料をAIに学習させ、少しずつ実物に近づけていったという。
空海の時代にはなかった仮名も含めた挑戦で、昨年8月に発行された同大の広報誌は、“空海の字”が表紙を飾った。今後の課題は「人間らしさ」の表現という。
心を落ち着けて書けば落ち着いたように、あわてて書けばそれなりに乱れるのが人間の書く字だろう。
1979(昭和54)年に明らかになった軍用機売買を巡る汚職「ダグラス・グラマン事件」では、中心人物だった日商岩井の副社長が国会の証人喚問で宣誓書に署名する際、手が震えてなかなか書けなかったエピソードが知られる。
空海ともなれば心の乱れなど無縁だろうが、時代や書いた目的など、文書の背景をAIが学習すれば、字も人間らしくなるのかもしれない。
空海にとどまらず、能書家の書跡の再現につながる研究だが、人間らしさまで表現できれば、それはそれで恐ろしいような気もする。(増)