観光地は数あれど、寺ほどお得な場所はな…
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観光地は数あれど、寺ほどお得な場所はないかもしれない。1人当たりの拝観料は1000円以下の寺が多く、高くても映画1回分ぐらいの料金だろう。
いったん入れば帰りをせかされることもなく、美術的にも価値の高い仏像を心行くまで拝むことができる。手を合わせて心の安らぎを得る人もいるだろうし、山登りと同様、参拝を終えた充実感もある。寺ごとに異なる御朱印も楽しみの一つだ。
ただ、建物の修理をはじめ、境内の維持管理には多額の費用がかかる。防犯センサーなど警備の経費もみなければならない。
国宝の五重小塔で知られる奈良市の海龍王寺が、毎月定額を寄付してくれる支援者の募集を始めた。お礼は毎月の祈とうなどで品物はない。
返礼品への期待が大きい1回限りの寄付と異なり、日常的に寺を支える一助となる。「支援いただいた方とお寺の環境が整っていく喜びを共有できれば」と石川重元住職。
同寺は檀家を持たないが、檀家の減少に頭を抱える寺にとっても興味深い取り組みだろう。鍵は価値観の共有。試みが実を結び、全国のモデルケースとなればよい。(増)