長い1日となったあの日から7カ月以上が過ぎ、ようやく捜査が終結した。参院選の最終盤に、演説中の安倍晋三元首相が銃撃された。

　その場で逮捕された山上徹也被告は、半年間の鑑定留置を経て、年が明けた先月に、ようやく殺人罪などで起訴され、捜査終結を受けて公選法違反などで追送検された。

　全国に衝撃が走ったこの事件が、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で起きたことで、なおさら驚かされた。また犯人の動機から同情の声さえ出た。

　これから司法の場で審理されるが、裁判員裁判の手続きが進められる。誰かが裁判員に選任されるわけだが、情報過多のなかで、先入観なしに冷静な判断が求められる。

　また選挙の季節がやってくる。立候補予定者による毎朝の駅頭での演説にも熱が入り、すでに選挙本番の様相だ。国会議員ら大物の遊説も目につく。

　選挙は民主主義の根幹をなすものだ。いかなる暴力による妨害も許してはなるまい。かつてない激戦が予想される知事選をはじめ各種選挙で、きれいごとでなく、県民の願いや疑問に答える言論戦を期待したい。(治)