城下町の白壁や町家をイメージした縦格子…
城下町の白壁や町家をイメージした縦格子の外観を持った大和郡山市役所の新庁舎が2日、開庁した。免震構造の鉄骨造地上5階、地下1階建てで、万一の災害時の拠点としての役割も期待される。
一方で、長年、市民に親しまれてきた旧庁舎は取り壊される。1961(昭和36)年建築の旧庁舎は分離派建築会の建築家、山田守が設計した。
1920(大正9)年に結成された同会は実用性を重視した当時の建築界に反発。過去の形式から分離した芸術性の高い建築を目指した。
主要メンバーだった山田は「大きな玉ネギ」に例えられる日本武道館などを設計。身近な例では京都タワーも山田の作品だ。
旧庁舎は増改築で形状が変わったが、当初はかなりユニークなデザインだったらしい。特に「マッシュルームコラム」と呼ばれたキノコ状の円柱を持つ車寄せは今見ても斬新だ。
個人的なことで恐縮だが、駆け出しのころに大和郡山市を担当した筆者にとっても、行政や議会に対する取材の基礎を学ばせてもらった思い出深い建物。市民とともに、旧庁舎に感謝したい。(法)