国原譜

解体修理を終えて初層の特別開扉が行われ…

 解体修理を終えて初層の特別開扉が行われている東塔を拝観しようと薬師寺を訪ねた。実施期間は来年1月16日まであるが思い立ったが吉日だ。

 今なら塔の心柱を見学することができる。また東塔の形をした陶器の容器に入ったおみくじ授与が始まったという話題にも興味をひかれた。

 もう50年あまり前、まだ小学生のころに友達数人とお寺巡りクラブを結成。ちょっとした冒険気分で県内各地を歩いたが、当時の薬師寺は随分と古びた寺だったという印象が残る。

 記憶をたどると、薬師三尊をまつる堂では雨漏りがしていたような。ただ西塔の礎石の水たまりに東塔を映す風情は、奈良らしく懐かしい。

 まだ高田好胤師が管主に就かれた直後のころ。金堂など七堂伽藍(がらん)がそろう現在の薬師寺の姿は想像もできなかったが、受け継がれる高田師の心、そして法話はなお健在。

 ハスの花には少し早かったものの、まだ当分続きそうな梅雨とコロナ禍をしのぐのに古寺巡礼は心身に良い。昔を思い出しながら楽しみにしていた塔型のおみくじも引いて、この日はやはり吉日だった。(松)

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