国原譜

奈良市市街地の東部、春日山の麓に位置す…

 奈良市市街地の東部、春日山の麓に位置する高畑。古くは春日大社の神職が住む社家町として栄え、明治維新後は志賀直哉ら多くの文人たちに愛された。

 春日大社所蔵の古文書「古社記」によると、春日の神職たちは鹿島(茨城県)から奈良に来られた神様の宣託で旧辰市村辺りに居住。しかし、平安時代に社務が忙しくなり、多くが高畑に移ったという。

 こうした高畑の歴史をわかりやすくまとめたのが、奈良市の元喫茶店主、大槻旭彦さんの著書「奈良高畑町界隈―その歴史と伝承―」。土地の古老から聞き取った言い伝えなども記され興味深い。

 大槻さんは還暦を過ぎてから奈良大学に入学。卒論で春日大社を取り上げ、高畑の歴史の研究に没頭してきた。

 同書のあとがきによると、出版のきっかけは新型コロナウイルス感染拡大だという。予測もできないことが起り、「急がないと本にしないまま終ってしまう」と大槻さんの背を押した。

 高畑周辺は春日大社の旧禰宜家、藤間家の保存活動のほか、新しい店の開店も相次ぎ注目を集める。同書を片手に歩いてみたい。(法)

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