国原譜

昭和28年9月26日付の大和タイムス(…

 昭和28年9月26日付の大和タイムス(現奈良新聞)は「奈良市でも避難命令!」の見出しで、佐保川の氾濫に伴う奈良市中心部の浸水被害を伝えている。

 支流でも氾濫が相次ぎ、猿沢池近くの三条通も川のようになったという。紀伊半島の南端をかすめるように通過した台風13号がもたらした大雨だった。

 「何があってもこの川だけは大丈夫」と言われた佐保川だったが、予想以上の豪雨に堪えることはできなかった。

 県発行の「歴史から学ぶ 奈良の災害史」で、静岡大学防災総合センターの牛山素行教授は「氾濫しない川などというものは絶対にあり得ない」とし、居住地に加えて他地域で発生した災害を通して自然の姿を知ることが重要と説いた。

 内閣府は災害時に市町村が発令する「避難勧告」を廃止し、「避難指示」に一本化すると決めた。運用は来年の梅雨期からの予定で要注意。

 命に関わる発信がシンプルになったのは確かだが、単に表現の違いと思ってしまえば避難はやはり遅れる。起きうる災害は何か。「彼を知り己を知れば百戦あやうからず」は災害にも言えそうだ。(増)

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