国原譜

日本三大祭りといえば京都の祇園祭、大阪…

 日本三大祭りといえば京都の祇園祭、大阪の天神祭、東京の神田祭が一般的。しかし、日本の歴史文化に影響を与えた点では17日を中心に奈良で営まれる「春日若宮おん祭」も負けていない。

 平安時代末から続く春日大社の摂社若宮社の例祭。能楽の前身・猿楽や田楽をはじめ、国の重要無形民俗文化財にも指定を受けた数々の神事芸能が奉納される。

 おん祭で芸能の一節が演じられる春日大社一之鳥居近くの「影向(ようごう)の松」は、能舞台に描かれる松とされる。また、祭場入り口の封印を解く所作は「埒(らち)があく」という言葉の語源となった。

 藤原摂関家が始め興福寺衆徒(僧兵)が行ったが、朝廷の力が弱まると「大和士(やまとざむらい)」と呼ばれる武士たちが主催者となった。さらに、神仏分離で興福寺が衰退した明治以降は、市民たちが祭りを支えた。

 こうした流れは日本史とそのまま重なる。おん祭は芸能文化だけでなく、政治とも深い関係を持っていた。

 そもそもの目的が、全ての人々の幸せを祈る祭り。奈良だけなく日本の「おん祭」と言ってよいだろう。(法)

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