国原譜

繰り返し味わうに足りるかが、文学、音楽…

 繰り返し味わうに足りるかが、文学、音楽、映画、美術などにおける名作の条件の一つではないだろうか。飽きるどころか、つねに新たな発見がある。

 昭和58年に初公開されたドキュメンタリー映画「東京裁判」。公開当時とテレビ放送で過去2回見たが、今回デジタルマスター版で見直して、その感を一層深めた。

 第2次大戦後、日本の戦争犯罪者を裁いた極東国際軍事裁判と、日本を中心とした戦下の記録フィルムを再編集してある。劇映画の名匠小林正樹監督の作品。

 新版は映像、音ともに驚くほど鮮明になっていた。大抵は聞き取りにくい音で一部しか紹介されない昭和天皇の「玉音放送」が全文、字幕付きなのは圧巻だ。

 「東京裁判」は、さまざまな評価がある。戦争で人を殺しても犯罪でない以上、果たして戦犯を裁くことができるのか。欧米戦勝国に日本に対する人種的偏見はなかったのか。

 しかし、疑問点はあっても、戦争の残虐性を赤裸々に暴いたのは事実だ。戦争について薄っぺらな考えを発信する一部の政治家やネット投稿者に、この作品で勉強してもらいたい。(栄)

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