8月の奈良県内中小企業景況、3カ月連続で悪化 景況判断DI(前年同月比)が前月から2・5ポイント低下
奈良県中小企業団体中央会(佐藤進会長)が1日までに発表した8月の県内中小企業景況は、業界の景況感を示す景況判断DI(前年同月比)が前月から2・5ポイント低下のマイナス22・5となり、3カ月連続で悪化した。
「繊維」は百貨店、専門店とも好調維持
製造業(8業種)の景況判断DIは、前月から6・3ポイント低下のマイナス31・3で、3カ月連続で悪化。非製造業(7業種)は前月と同水準のマイナス16・6だった。
業種別に見ると、「繊維」は百貨店、専門店とも好調を維持。百貨店は盛夏、初秋ものが、専門店は猛暑を想定した夏物がそれぞれ売れた。「プラスチック」は、円安による原材料費やエネルギーコストの高騰、人件費の上昇で厳しい状況が続く。「商店街(県下全域)」は、インバウンド(訪日外国人客)観光は好調に推移するが、猛暑の影響で高齢者を中心とする常連客の足が止まった。「配置薬」は、得意先の高齢化に伴う消費の低下で売上高が減少している。「旅館・ホテル」は、南海トラフ地震臨時情報の発表、台風10号による公共交通機関の運休などでキャンセルが多数出た。
人件費上昇による収益悪化に苦しむ状況が続く
同中央会は「人流増加の季節で非製造業では景況感が下げ止まったが、製造業は原材料、エネルギー価格の高騰や、人件費上昇による収益悪化に苦しむ状況が続いている。最低賃金の引き上げもあり、賃上げの原資確保に苦慮する事業者らを中心に経営への影響を懸念する様子もうかがえる」としている。
景況判断DIは、前年同月と比べて「好転した」とする割合から「悪化した」とする割合を差し引いて算出。県内15業種40組合を対象に調査を実施した。