【民俗資料の収蔵問題】インタビュー(上)文化の形成に大きな役割 - 龍谷大学名誉教授・須藤護さん

奈良県立民俗博物館が収蔵する民俗資料について山下真知事が廃棄に言及し、波紋を広げている。日本民具学会は「安易な一括廃棄」を懸念して声明を発表したが、収蔵施設の老朽化やスペース不足など民俗資料の収蔵は全国的な課題という。民具の価値や収蔵の問題をどう考えたら良いか。民俗学を専門とする須藤護・龍谷大学名誉教授に聞いた。(聞き手・竹内稔人)
奈良県知事の発言はある意味もっともだというのが私の第一印象です。民具に関して私を含めた民俗研究者の発信する情報があまりにも少なかった。これは専門家の方が反省しないといけません。
日本民具学会の声明の中に「身近な暮らしの道具である民具は、文字記録に残されることの少ない民衆の生活史を雄弁に物語る、他に類を見ない貴重な資料群です」とありますが、これはまさにその通りです。