天然由来の新素材で商品開発 大和高田の牧村プラスチック 生分解性の「ペパレット」で脱炭素社会構築へ
環境省の補助金活用 第1弾はハンガー
プラスチック部品製造などの牧村プラスチック工業(奈良県大和高田市、牧村恵史社長)は、微生物などの働きで分解される生分解性プラスチックの新素材「ペパレット」を使用した製品づくりを本格化している。第1弾としてハンガーを商品化。今後脱炭素、循環型社会の構築を念頭に、暮らしに役立つさまざまな商品の開発に取り組む。
同社によると、ペパレットは木からつくる紙とトウモロコシ由来のポリ乳酸が主原料。原料全てが天然由来の素材のため、微生物などの働きで分子レベルまで分解され、水と二酸化炭素となって自然界に循環する。
焼却した場合も原料の木材が伐採後に更新されれば二酸化炭素が相殺され、カーボンニュートラルとなる。新素材の製品は短期間での分解が可能で、肥料としても活用できるという。
同社は石油由来の従来型のプラスチックが、リサイクルされずに埋め立てられたり焼却による二酸化炭素が地球温暖化につながったりする状況を懸念、約5年前に日本ペパロン社(東京都)が特許を持つペパレットと出合い、商品開発に向けて研究に取り組んだ。
2023年には脱炭素社会の構築を目的とする環境省の補助金も活用し、和歌山県岩出市にペパレット製造の自社工場を開設。新素材を使ったハンガーの製造にこぎ着けた。
新素材で製造されたハンガーと試作品のヘルメットなど=11日、大和高田市田井の牧村プラスチック工業
同社は水を使わない乾式工法でペパレットを製造、工程の短縮でコスト削減と大量生産を図る。また新素材の特性を生かした多方面の商品開発にも着手、需要が高まるヘルメットや食器、カトラリーなどの試作も始めている。
ペパレットを製造する工場の内部=和歌山県岩出市(牧村プラスチック工業提供)
今後は異分野やさまざまな年齢、経験を持つ人々との協働も想定。同社は「新素材を使った製品が環境への負荷が低いことを展示会などでアピールし、さまざまな立場の人と活用の方法を探っていきたい」と話している。