百田、森田ら躍動 - 奈良クラブ
開始5分 神垣、会心ゴール
奈良は前節からのいい流れを生かせなかった。最終ラインを高く保ち、前線からプレスを仕掛けて2ゴールを奪ったが、勝ち星はついてこなかった。
試合の入りは素晴らしかった。鈴木のロングフィードに神垣が抜け出して先制。その後も最終ラインから前線までをコンパクトに保ち、何度もチャンスを作った。沼津も同じシステム。似たもの同士の戦いとなり、中盤のセカンドボールの奪い合いは互角で激しかった。
しかし、前半38分に奈良がミスから失点し、試合の流れは沼津に傾き始めた。後半に入ると、沼津は豊富な攻め手にロングボールを加えて勢いを増す。J1経験者が多く、球際の強さは際立った。次第に奈良はセカンドボールで劣勢に回った。
沼津は両サイドから、また中央から崩しにかかる。後半7分に右サイドから勝ち越し点を奪うと、最後はセットプレーで加点。多彩な得点パターンで、奈良が思い描いた理想の戦いをしてみせ、そして圧倒した。
沼津は現在3位でJ2自動昇格(上位2位)を狙うだけの戦術、技術、さらに気持ちの強さを兼ね備えていた。中山雅史監督は「選手たちには、いつも(ゴール前に)走り切れているのか、詰め切れているのかと問い続けている」という。その貪欲さが後半の強さに結びついているようだ。
前節、琉球に快勝した奈良は、攻守に安定感を取り戻したばかり。リーグ戦序盤から、勝ち切れない試合が続き、混乱したまま対戦した前回の対戦は0―3の完封負け。しかし、今回は勢いのある沼津を相手に2―3のスコアは評価できるだろう。
先制点を奪った神垣は「いいボールが来た」とパスを出した鈴木に感謝し、「もっと攻撃の起点にもならなければ」と課題を挙げた。12試合ぶりにゴールを奪った百田は「長く苦しかった。ゴールがない間にアシストと、ゴールの起点となるプレーが増え、(ストライカーとしての)自分自身に疑問を感じていた」と打ち明けた。そして「諦めずに走り込む、一回のチャンスをものにする、詰める部分の視界が開けた」と、久しぶりのゴールを喜んだ。
もう一人、見逃せないのは森田の活躍だ。ここ数試合、後半途中からの出場だが、アンカーやインナーハーフをこなし、浮き球の縦パスで、攻撃にまた一つ新たなアクセントを加えている。ここ数試合をよく観れば、リーグ戦序盤から続いた長く苦しい戦いの中で、選手個々の成長が見て取れる。
リーグ開幕前のプラン通りのチーム作りが進んでいる。今後はチームの強度、精度を高めること。そして勝利に向けての貪欲さ、泥臭さといった「勝者のメンタリティー」(フリアン監督)の獲得が求められるだろう。(河村)
【次節】
ガイナーレ鳥取
◆第24節◆
8月17日19時
Axisバードスタジアム