景況感2カ月ぶり改善 5月奈良県内中小企業
人手不足が収益力足かせ
奈良県中小企業団体中央会(佐藤進会長)が4日までに発表した5月の県内中小企業景況は、業界の景況感を示す景況判断DI(前年同月比)が前月から2・5ポイント上昇のマイナス10・0となり、2カ月ぶりに改善した。
製造業(8業種)の景況判断DIは、前月から6・2ポイント上昇のマイナス12・5で、2カ月ぶりに改善。非製造業(7業種)は前月と同水準のマイナス8・3だった。
業種別に見ると、「繊維」は、外出機会の増加や気温の上昇で夏物需要が活発。百貨店では円安を背景としたインバウンド需要が過去最高となった。「プラスチック」は、受注状況や売上利益は改善しているが、円安による材料費の高騰などで収益率は減少。「機械」は原材料費、輸送費、電気・エネルギー価格の高止まりに人件費高騰、人手不足もあり厳しい経営が続く。
「青果」は、市場全体の売り上げは野菜、果実とも前年を上回っているものの販売量が大幅に下回り、単価の上がり過ぎも懸念材料。「石油」は、物流の2024年問題での運転手不足の影響で、重油の配送納期が延びるなどしている。「商店街(県下全域)」は、人のにぎわいが売り上げにつながっていないのが実情。「旅館・ホテル」は、宿泊人数は変わらないが、宿泊料金値上げで売り上げは増加。訪日客の宿泊は全体の26%ほどになっている。
同中央会は「原材料、エネルギー価格の高騰や人件費の上昇、円安による物価高での消費マインドの低下などで、景況感は依然厳しい。人手不足、人材確保の問題も収益力の足かせになっている」としている。
景況判断DIは、前年同月と比べて「好転した」とする割合から「悪化した」とする割合を差し引いて算出。県内15業種40組合を対象に調査を実施した。