伝えたい「技術」「心」 事例や金融支援紹介 奈良県橿原市で事業承継シンポジウム
奈良県事業承継・引継ぎ支援センター主催の事業承継シンポジウムが19日、橿原市久米町のホテルグランドメルキュール奈良橿原で開かれた。県内の事業者や事業承継支援機関、金融機関の関係者ら約230人が参加した。
主催者を代表し、奈良商工会議所の峯川郁朗専務理事が「県内の承継問題は随分前からの課題で、M&A(企業合併・買収)はもちろん、親族内承継も含めて相談に乗っている。企業に寄り添った体制を整え、大切な技術などが受け継がれるよう支援を行っている」とあいさつ。
続いて、近畿経済産業局の八田明洋中小企業課長が企業の廃業の増加や事業承継に期待される効果などを解説した。
事例発表では、宇陀市室生の「民宿むろう」の山本徳章代表が、1979年創業の民宿を両親から引き継いだ経緯を説明。会社勤めを辞めた山本代表は一人旅の多い時世に合わせて4室の個室に民宿を改装、県内の民宿で一番と評判を取るようになった。
2例目は、リフォームや不動産を手がけるキノシタの木下智喜代表(譲受企業)と、建築内装専門店、田中公栄堂の田中隆平・前代表(譲渡企業)が、銀行を介して成約に至るまでの苦労や秘話を語った。M&Aがどのように行われるのか、参加者は興味深く聞いていた。
その後、休憩をはさんで「県の事業承継問題を解決に導くための連携について」をテーマにパネルディスカッションが行われ、各金融機関の事業承継支援の取り組みも紹介された。