副知事に就任した福谷健夫さん(66) - ときの人
元奈良県職員で、村井浩前副知事の後任として4月1日付で副知事に就任した。
「気負いはない。私は職員あがりなので、それぞれの職員が抱える県政の課題について、相談しながら一緒に解決していければ」と伴走する姿勢を見せる。
五條市出身。1977(昭和52)年に県採用となり、最初は県税事務所に配属された。勤めながら夜は大学に通い、4年で卒業。教師を目指していたが、そのまま県庁勤めを続けた。
税務課や学研・大学連携室、廃棄物対策課、農林部などさまざまな部署を経験。中でも印象に残っているのは開発調整課の仕事だ。事業者からの開発申請の許認可を行う部署で、都市計画法や農地法、森林法、風致関連の規制など「いろいろな法律の知識を浅く広く持っていないと仕事ができなかった。その知識がその後に大きく役立っている。いい経験だった」と振り返る。
また県民や事業者など県庁外の人と接する仕事が多く「相手に合わせた話し方を心がけ、相手が何を求めているか早く把握できるよう工夫をした」と語る。
定年退職後、知事特命参与(農林担当)として勤め、昨年1月に退任。その後、山下真知事から「いろいろな方から名前が挙がっている。職員とコミュニケーションを取り、風通しの良い職場環境をつくってほしい」と副知事就任の要請を受け、引き受けた。
就任後は副知事室のドアは基本的に開け放して、廊下で職員とすれ違えば声をかけるなど、職員が気軽に話をできる存在でいられるよう心がけている。
地元五條市では山下知事が大規模広域防災拠点の整備を見直したことにより、住民とあつれきが生まれている。
「地元であるがゆえのメリットもあれば、大変なことがあるが逃げも隠れもできない。地元の声も聞こえてきやすい環境にいるので、地元の思いと知事の考えのすり合わせをしていければ」と話した。 (竹内涼香)
ふくたに・たけお
1957(昭和32)年、五條市生まれ。近畿大学法学部卒。77(同52)年に県採用となり、景観・環境局次長、農林部長などを歴任。家族は妻とトイプードル1匹。趣味は音楽鑑賞、読書。県で一番好きな場所はすぐそばに山や川がある地元、五條市の風景。職員時代は片道2時間かけて県庁に通勤していた。