山本工務店(桜井市)山本正成社長(75) 吉野スギ・ヒノキを用い、こだわりの日本建築 心豊かな住まいを 自ら山に入り立木選別 - トップに聞く(8)
奈良県桜井市安倍木材団地1丁目の山本工務店は、吉野スギ・ヒノキを使った日本建築を手掛ける。創業者の山本正成社長(75)のこだわりは「木」。社長自ら山に入り、立木(地面に生えている樹木)から最適な木を選別する。
中学校卒業後、建築の道に入った山本社長。小学生の時に仕事をする大工の姿を見て「かっこいい」と思ったことや、手先が器用だったことから中学校の担任に「建築の道に進んだらどうか」と勧められたことが、きっかけだった。
職業訓練校で1年間、建築の基礎を学んだ後、斑鳩町にあった日本建築の工務店に弟子入り。親方が厳しく、ほとんどの弟子が1年ももたずに辞めていく中、6年間、住み込みで修業を続けた。出身地の室生にいる両親を「安心させたい」「楽をさせたい」という思いで頑張り抜いた。初任給の3000円は、感謝の気持ちを込めて全額、両親に渡した。
独立後は、日本の木の良さを100%生かし、「健康的な家づくり」をモットーに日本建築を手掛けてきた。木にこだわる山本社長は、自ら立木を吟味し、使用する木を選別する。吉野スギ・ヒノキは「木の艶や色合いがいい」とし、木造の日本建築は「日本の気候・風土に適し、夏は涼しく冬は暖かい」と魅力を語る。「木目をいかにきれいに見せるか」に気を配って家を建てる。
「温故知新」という言葉を大切にし、長い歴史を持つ日本建築の基本を守りながら、若い人にも受け入れてもらえるよう現代的なデザインを積極的に取り入れるようにしている。
伐採した木は自社の製材工場で加工することで、流通
コスト・中間マージンを徹底カットし、住宅価格を低く抑えている。木造建築の在来工法(木造軸組み工法)を継承するため、職人を3人育成した。
「人間性が豊かになる住まい造りを原点に、建築を通して広く地域社会に貢献できれば」と山本社長。「家族が仲良く、健康に暮らせる家づくり」のため、今も現場に立つ。
【メモ】
奈良県桜井市安倍木材団地1の11の4
電話 0744(42)1032