【エンジョイ!スポーツ】県独自の取り組み 魅力を多くの人に - ソフトテニスを発展させる会
ソフトテニス(軟式テニス)は、1880(明治13)年頃に英国から伝わった硬式テニスを基に、独自にゴムボールを使用することで生み出された日本発祥のスポーツだ。ルールは硬式テニスと同様、ネットを挟み、ラケットを使ってボールを打ち合い自分のコートに飛んできたボールをワンバウンド以内で返球し合い、ポイントを競う。しかしながら、異なる点もいくつかある。
まずボールが違うため、ラケットは硬式よりも軽く、面が少し小さいものを使用する。一番大きな違いはバックハンドの打ち方で、硬式はフォアハンドと逆の面を使うのに対し、ソフトテニスでは手首を返して同じ面で打つ。またポイントの数え方などもシンプルになっている。
特に中学校の部活動として広く普及しているソフトテニスだが、県独自の取り組みとして「ソフトテニスを発展させる会」がある。同会はソフトテニスの魅力をより多くの人に知ってもらうことで競技の普及発展につなげようと、県中学校体育連盟(県中体連)とは別の組織として三十数年前に発足した。
現在男女それぞれ30校あまりが登録している。主な活動は、県中体連の大会とは別に春の「全国中学選抜研修大会」、夏の「夏季研修大会」、冬の「インドア研修大会」という3つの大会を主催。中学生選手たちの競技技術やマナーの向上、何より県中体連の大会などに出られない選手たちにも大会を経験してもらうことを目的に開催している。
夏と冬の研修大会は県内の中学生選手を対象としているが、春の大会は全国各地から交流のある中学校を招待して行われており、注目を集めている。以前は主会場の明日香庭球場だけではコートが足りず別会場に分かれて開催したり、岡山などの遠方からも参加があったが、コロナ禍の影響で2020年から22年まで大会中止や県内選手だけの縮小大会となり、昨年3年ぶりに従来の形で開催された。しかし、参加校数はまだ従来のようには戻っていないという。
同会の鎌倉一総務委員長は「他府県からの参加選手たちが、会場に掲げていた横断幕の前で記念写真を撮っていたのが印象的だった。また、参加して良かった、勉強になったといった声をかけてもらった。コロナ禍の中止もあったので今年は開催されますか、といった問い合わせをいただいたりと、心待ちにしている人がいてくれることも大変ありがたく思う。今後も喜んでもらえる大会を開催していきたい。また以前のように多くの人に参加してもらえたら」と話す。
同会の影響もあってか、他府県でも同様の大会が個人開催などで行われているところもあるという。ソフトテニスの発展を願う取り組みの輪が広がっている。(岩本)
2024年4月10日付・奈良新聞に掲載