音羽山観音寺後藤住職の花だより - 新作おやつ編 2024年3月上旬
関連ワード:

先月、やっと薪ストーブに火が入ったと思ったのに、今日は石油ストーブになっていました。「ストーブの灰が多くなってね。掃除しないと火を入れられないのよ。でも忙しくて掃除ができないの」という住職。灰ではなく、季節柄、部屋の中まで花粉が舞っているのか咳き込んでしまいました。
石油ストーブが活躍
野菜でおやつ 汁もおやつに
咳き込む記者に住職が「カリンジャム入れたヨーグルト食べますか?」と提案してくれました。カリンジャムは「まごころ便」の通販に入れる予定で、鍋の底に残っていたジャムをかき集めた物(きめが粗めの物)はもったいないので寺で食べます。
ヨーグルトのついでに住職が何やら容器を持ってきました。
「新作のおやつができたのよ。食べてみてね」
赤色の砂糖菓子でした。野菜を干して作る音羽菓(おとわか)に似ています。特徴のある風味でしたが、食べたことがないような味でした。
新作の赤いお菓子
「これはね。紅くるりで作ったの」
紅くるりはダイコンの一種。切った中まで赤いのが特徴です。音羽菓と違うのは、一度火を通してやわらかくしているところだとか。食感はソフトでグミのように口の中でかみこなします。
「これは何か分かるかしら?」
今度は大きな容器です。砂糖で固めた豆のようです。黒糖を思い出すような食感でした。
「赤いのは紅くるりを炊いたときに出た煮汁を利用したの。きれいに仕上がったでしょう?」
大量に作った砂糖菓子
さらに「これも食べてみて」と住職。黒い塊を差し出します。色を見て記者がためらっていると、住職が先に食べて見せます。
いつもビンに入れている黒い物
「梅のしょう油漬ね。生の梅に氷砂糖としょう油を入れて漬け込んでから干した物なの。このまま食べてもおいしいのよ。漬け終えた汁は煮物に入れるといいのよ」
保存食兼おやつの梅のしょう油漬。酸っぱくなくほんのりと甘く食べやすい味でした。
さて先月見たダイコンの丸干しが無量庵の軒先から消えていました。
「もう漬け込んだから、たくあん漬ができるわね」
たくあん漬はそのまま食べたり、洗って油で炒めてしょう油をふっておかずの一品にもなるそうです。
「洗いすぎるとおいしくないから塩分が強めのたくあん漬は、酢を入れて砂糖とゴマをふるかしら。酸味のある田舎漬だと細かく刻んでから炊いて、炒めてゴマをふって食べるわね」
住職は食べ物の話をしだしたら止まらなくなります。おやつを食べ終わってから時計を見ると12時。「お昼だね。お昼だね」と歌うように話しながら昼食の準備を始めました。
音羽山観音寺
山の中にある尼寺。桜井市南音羽
JR・近鉄桜井駅下車、桜井市コミュニティバス談山神社行、下居下車、約2km。
火曜日閉門。17日の御縁日が火曜日の時は開門、翌日閉門