野球は楽しいんだよ 小学生以下対象に「王寺工業高校」野球部員が奮闘 - 第2回やわらぎ野球交流会/第1回やわらぎ野球フェスタ
各年代に愛されている野球を通じて、高校球児と小学生以下の子どもたちが交流する取り組みが奈良県立王寺工業高校(王寺町本町3丁目)で行われている。主に小学生を対象にする「やわらぎ野球交流会」は、高校野球の未来を考える「高校野球200年構想」の一環として、昨年スタート。「子どもたちが野球に興味を持ち、第一歩を踏み出すきっかけになるイベント」として県高野連がバックアップする。今年はさらにその輪を広げ、未就学児を対象とした「やわらぎ野球フェスタ」を追加。同校で2月3、4日、2日間にわたって実施された。
同高野球部員ら約20人は、3日に同校グラウンドで小学生が対象の「第2回やわらぎ野球交流会」、4日に同校体育館で未就学児が対象の「第1回やわらぎ野球フェスタ」を行った。
今回が初開催となる同フェスタには、町内の子どもたち約30人が参加。開会式で同部の青木将太主将(2年)は「野球の楽しさを一生懸命伝えていくので、一緒に楽しみましょう」と力強くあいさつした。
この日はあいにくの雨天で体育館での開催となったが、「楽しく野球で遊ぼう!」というテーマに沿って、子どもたちは高校生とキャッチボールやティーバッティングなどを行い、どうすればうまく投げたり打ったりできるかを、楽しみながら教わった。また子どもたちのチームと高校生チームがティーバッティングをして、守備がバックホームするまでにどれだけ塁を回れるかを競うティーボールゲームなども行われ、見守る保護者らからも歓声が上がった。他にも、9マスの的を狙って投げるターゲットナインや、壁にボールやグローブなどの絵を貼った的当てなども用意され、参加者だけでなく、保護者とともに訪れた幼い弟妹たちも挑戦して楽しんだ。
小学生が対象の同交流会は今年で2年目。昨年、地元の少年野球チーム「王寺コンドル」の指導陣が、「高校生の練習を見学させてもらえないか」と依頼し、王寺工の本田知行監督が快諾した。
テーマの「もっと野球を好きになろう!」は同高野球部員らが自分たちで決めたもので、どうすれば野球の楽しさが伝わるか、どうすれば一緒に楽しめるかと、懸命に内容を考えて本番に臨んだ。午前に小学4・5年の部、午後に同1~3年の部が行われ、合わせて約30人が参加。ウォーミングアップで一緒にダッシュを行った後、尻につけたしっぽを鬼ごっこのように取る「しっぽ取りゲーム」では、「しっぽをよこせー」と追いかける高校生から、小学生たちは楽しそうに声を上げてグラウンドを逃げ回った。またキャッチボールやティーバッティング、ティーボールゲームの後、高校生のノックを見学。さっきまで笑顔で接していた高校生たちが見せる本気のプレーに、子どもたちは真剣な面持ちで見入った。
閉会式では、王寺コンドルジュニアチームの森賢治監督が「もっと野球を好きになろうというテーマは、子どもたちの笑顔を見れば伝わったことが分かってもらえると思う」、同チームの原鳳冴主将(王寺南義務教育学校3年)が「すごく楽しかった。来年もよろしくお願いします」と感謝。王寺工の谷口優真副主将は「交流会を通じて、『野球は楽しい、これからも続けていきたい』と感じてもらえたら、とてもうれしい」と応えた。
本田監督は「子どもたちから元気をもらい、明日からも頑張ろうという気持ちになれる。高校生にとってもとても有意義な時間になっている」とし、「高校生と一緒に野球をするとともに、子どもたちにはいろいろな遊びがあることを感じてもらい、野球に限らずいろんなスポーツをしながら、楽しいことや好きなことをもっともっとやってほしい」と話す。
少子化や若い世代の野球離れなど、少年野球を取り巻く環境の変化が危惧される中、こうした年代を超えた交流が、野球の楽しさをさらに新たな世代へと広げていくことだろう。(岩本淳)
高校生とバッティング練習=4日、王寺工業高校体育館
ティーバッティング=同
ティーボールゲーム(ティーバッティングで守備がバックホームするまでに回った塁の数で競う)で対決=同
高校生の練習に見入る=同
王寺工野球部と王寺コンドルジュニアチームのメンバーら=同
高校生とキャッチボール=4日、王寺工業高校体育館
打ち方を教わる=同
ナインターゲット=同
的当てに挑戦=同
2024年2月21日付・奈良新聞に掲載