【写スポーツ】スピード感、スリルが魅力 もがいて強くなる - 榛生昇陽・宇陀高校自転車競技部
幼児から高齢者まで幅広い世代が利用する、身近な乗り物・自転車を競技用具として利用し、自らの力のみで速さを競い合う「自転車競技」―。その魅力はスピード感とスリル。第1回アテネオリンピック(1896年)から正式競技として採用されている。
競輪場などトラック競技場で行うトラックレースと、一般の公道を使って実施するロードレース、オフロードを使用するマウンテンバイクなどがあり、高校体育連盟主催の全国総合体育大会(インターハイ)や全国選抜大会ではトラックレースとロードレースが行われている。
トラックレースで使われる競技場の走路は、外側が高くなるように傾斜が付けられ、1周250メートルが世界基準。先頭を走る選手は空気抵抗をより多く受けるため、仕掛けるタイミングを巡る駆け引きが勝負を左右する。
ロードレースは公道を走るため、そのコースはさまざまで起伏の激しい山道もあれば、田園地帯や海岸線を走ることもある。毎年7月にフランスとその周辺国で開催される「ツール・ド・フランス」は世界最大の自転車レースとして知られ、100年以上の歴史を有する。
県内の高校では、榛生昇陽・宇陀(宇陀市)と奈良北(奈良市)に自転車競技部があり、全国大会などで活躍しているほか、普及活動にも積極的だ。昨年、北海道函館市で行われたインターハイ女子個人ロードレースで榛生昇陽・宇陀2年の今西紗楽選手が3位に入った。
同校の部員は3年が3人(いずれも男子)と2年が男女各1人。練習は学校周辺や奥宇陀広域農道(やまなみロード)。夏場は布目ダム辺りまで足を伸ばす。日暮れが早い冬場でも連日30キロを走る。校内でローラー台練習や体力向上のトレーニング、ウエイトトレーニングも欠かさない。
全力でペダルを漕ぐことを「もがく」と表現するが、大和剛士監督は「効率よくペダリングを行うためには、体がぶれないこと」と話し、時には「もがけ」と声を掛ける。苦しい練習だが「乗った分だけ強くなれる」と高木春光選手(2年)。懸命に漕ぎ続け、汗を流す。
全国選抜大会が3月25日から福岡県北九州市などで行われる。高木選手はトラックレース1種目、今西選手はトラックレース2種目と個人ロードレースに参戦。ロードが得意という今西は、競技の魅力を「自然の中を走る空気感とレースごとに展開が異なり、順位が入れ替わること」と話し、頂点を目指す。(写真・文 牡丹賢治)
▷部員
【男子】自壇地一(3年)植野志庵(同)山田遥久(同)高木春光(2年)
【女子】今西紗楽(2年)
競技力=技術×体力と言われる。もちろん自転車競技も例外ではない。体力や筋力向上につながる地道なトレーニングも欠かせない
昨年8月、北海道で行われたインターハイ、自転車競技女子ロード競技で3位に入った今西選手(左端)=函館市の道南四季の杜公園
自転車の手入れも愛情を込めて毎日行う
2024年1月24日付・奈良新聞に掲載