一丸で苦境を乗り越え魅せた快進撃 - バンビシャス奈良

バンビシャス奈良は2023―24シーズンの前半30試合を終え、13勝17敗の西地区6位で後半へ折り返した。
シーズン序盤は、プレシーズンゲームで負傷した柳川に代わるポイントガード(PG)として投入した西裕太郎が、アルティーリ千葉との開幕戦(10月7日)で右前十字じん帯断裂と右外側半月板損傷のけがを負い、戦線離脱を余儀なくされた。続くホーム開幕戦となった神戸ストークスとの第2節2戦目(同15日)では、新加入の外国籍選手で日本で初プレーするジャクソンが、右ふくらはぎの肉離れで故障者リスト入りする不運に見舞われた。
ジャクソンに代わり、前シーズン福島ファイヤーボンズでプレーしたワース・スミスと急きょ契約したが、チーム合流の翌日には試合に出場する慌ただしさで、チームにフィットしたプレーを望むには酷な状況だった。
選手が一人抜けるということは、シーズン前に想定し練習を重ねてきた「勝つためのプレー」ができなくなるということだ。特に得点で軸になる外国籍選手の変更は、ゲームプランそのものを組み立て直す必用にも迫られる。バンビシャスは開幕から9連敗することになった。
しばらくは西地区最下位から脱することができず、「今年もまたか…」と絶望したファンも少なくなかっただろう。しかし前半戦を終えた今振り返れば、チーム状況に不備があるうちに千葉、神戸のほか、滋賀レイクス、熊本ヴォルターズ、ライジングゼファー福岡といった、プレーオフ進出を射程圏内に捉えているチームとの対戦となったことは、ある意味で幸運だったと見ることもできる。このタイミングで岩手ビッグブルズや新潟アルビレックスBBと戦っていれば、果たして結果はどうなっていたことか。
11月は6勝2敗、12月は7勝4敗でいずれも勝ち越して終わった。開幕9連敗という結果ばかりに意識がいってしまうが、第4節の熊本戦、第5節の福岡との2連戦は、アウェー戦ながら僅差で敗れる接戦を繰り広げた。その後の快進撃の萌芽(ほうが)は、すでにシーズン序盤からあったのだ。
ムボジ、ハインズが安定した戦いぶりを見せ、過密スケジュールで増大した外国籍勢の負担を林、本多がしっかり引き受けた。柳川に代わって正PGの座に就いた笠井も与えられた役割りを果たすど、スターティングがほぼ固まった。チームが苦しい状況にあっても、小野ヘッドコーチ(HC)がぶれずにチーム作りを行い、選手がそれを信じてついてきた結果だろう。
バンビシャス奈良初のプレーオフ進出実現に向け、後半30試合の戦いぶりが楽しみだ。(有賀)