寺沢さん、堀川さんが「第18回女性史学賞」をダブル受賞 新たな文体での叙述を評価
女性史やジェンダー史に関する、日本語で書かれた優れた著書に贈られる「第18回女性史学賞」(奈良女子大学アジア・ジェンダー文化学研究センター主催)の受賞式が6日、奈良市北魚屋東町の同大学であった。日本学術振興会特別研究員(RPD・広島大学)の寺沢優さんの「戦前日本の私娼・性風俗産業と大衆社会 売買春・恋愛の近現代史」(有志舎)と、堀川祐里さんの「戦時期日本の働く女たち ジェンダー平等な労働環境を目指して」(晃洋書房)が受賞。高岡尚子・同センター長から賞状と目録が贈呈された。堀川さんは1日に起きた能登半島地震の影響のため、オンラインで新潟県から参加した。
同賞は歴史学者で文化勲章受章者の故・脇田晴子さんが2005年に創設。17年度に同センターが継承してからダブル受賞は初めてとなる。
式には関係者約30人が出席。奈良女子大の今岡春樹学長は「毎年楽しみにしている授賞式。女性史から学ぶことは多い」とあいさつ。
選考委員5人を代表して成田龍一・日本女子大学名誉教授が「(受賞者の2人は)すでに膨大な研究がされている近代の女性史問題を見据えながら新たな問いを立て、新たな文体で叙述していたことが選考のポイントとなった」と講評した。
受賞者講演を行った寺沢さんは「育児との両立に苦労しながら執筆した。受賞は大変うれしく救われる思い。今後も研究を続けたい」と話した。