音羽山観音寺後藤住職の花だより - 生け花か食べ物か編 2023年12月上旬
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玄関に置いているバケツには、柿の実が付いた枝が差してありました。「この間、高野山に行ったとき、山に生えていたのをいただいたの」。モチツヅジの枝と一緒に生けるつもりなのだそうです。冬は花が少ない季節。実を付けた木の枝を生け花にすることが多いそうです。
庭に吊るしている 赤い実はリースに
赤い実が付いた枝を木にぶら下げていました。
「リースのつもりなのよ」
リースのつもりの枝
赤い実はツルウメモドキと思っている住職。植物に詳しい支援者から「名前が違うのでは?」といわれたそうです。ツルウメモドキは実の殻も付いているので見分けがつくのだとか。のちにヒヨドリジョウゴということが分かりました。
「この実は桃の木に絡みついていたの。桃の実は一度も見たことないけどー」
桃なんてあったのかしらと思っていたら「ゲンペイモモよ」と教えてくれました。
住職、花桃であるゲンペイモモに食べられる実を求めてもだめなのではないでしょうか。
花展の花は庭の木の実 めずらしい実に注目し
庭の西側に住職が案内してくれました。ここから先は里まで続く山道があります。ほとんど人が通らない道で犬のサクラの散歩コースになっていました。
西庭に変わった形の実がなっている木がありました。枝が不自然に切られて木のバランスが不格好になっています。ホテルで行われた花展用の花材のため切ったそうです。
枝を切ってバランスが悪くなった木
「高野山にはまだたくさんある木だけどね。花展ではめずらしい木だったから、みんな足を止めて見てくれたのよ」
落ちている実を見ると、赤や紫の丸い実に緑の丸い実がくっついている双子のような実です。住職が枝から実をブチッと取っています。それを記者の前に差し出しました。
「この紫のところを食べてみてごらん」
実はこんな感じ
住職の顔色を伺ってから、こわごわ口に入れてみました。というのも住職がニヤリとしていたら実が酸っぱいか渋いか何かあるはずだと思っていたからです。住職はいつも通りの顔でした。記者が食べると住職もすぐ口の中に実を入れていました。ほんのり甘く、サクサクとした食感です。
「この実の形が羅漢様が座っているように見えることからラカンマキって言うのよ」
実を立てて、羅漢様の説明をする住職
「花展で『初めて見ました。何ていう名前の木ですか?』か『うわーなつかしい。昔よく食べたわー』ってよく声かけられたわね」
住職も子どものころよく食べたとか。
「昔の子どものおやつなのよ」
そう言った住職は穏やかな顔をしていました。
音羽山観音寺
山の中にある尼寺。桜井市南音羽
JR・近鉄桜井駅下車、桜井市コミュニティバス談山神社行、下居下車、約2km。火曜日閉門。
17日の御縁日が火曜日の時は開門、翌日閉門