社会

悲劇二度と、社会に訴え 奈良で全国視覚障害者福祉大会 踏切安全対策など議論

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第76回全国視覚障害者福祉大会(奈良大会)のシンポジウムであいさつする日本視覚障害者団体連合の竹下会長=21日、橿原市久米町のダイワロイヤルホテル「ザ・カシハラ」

 「実現させよう、踏切と横断歩道の安全対策」などをスローガンに日本視覚障害者団体連合と奈良県視覚障害者福祉協会の第76回全国視覚障害者福祉大会(奈良大会)=奈良新聞社など後援=が21日、橿原市内で始まった。全国から計約350人が参加。きょう22日の大会式典は動画投稿サイト「ユーチューブ」でも配信する。

 

 大和郡山市内で昨年4月、視覚障害の女性が踏切内で列車にはねられて死亡した。半世紀以上ぶりとなる奈良大会は、犠牲を無駄にしない強い決意で開催。国土交通省道路局でバリアフリー関連のガイドライン整備などを担当する職員と視覚障害者、歩行訓練士を交えたシンポジウムを行い、踏切や道路を安全に横断できる社会の実現を強く求めた。

 

 シンポジウムでは、県内在住の全盲女性や盲導犬ユーザーら3人の視覚障害者が「人や車の往来が激しかったり、車歩分離ができない狭い踏切は危険を感じる。遠回りになっても危険なルートは使わない」「白杖や足がレールにはまり込むのが怖い」などと当事者の声。国交省道路局の大西良平企画課長が、継続検討中の線路内誘導表示の在り方で「白杖の使用を前提に考えてきたが使わないことも踏まえた検討が必要だ」と新たな視点に気付くなど有意義な意見交換を行った。

 

 日本歩行訓練士会の古橋友則会長は道路の誘導表示について「全国統一の整備が望ましい」と話した。

 

 また、視覚障害者らは道路横断中にセンターラインに取り残されるなどした時に異変に気付いた周囲の人に助けられたことなどに感謝。ハード整備だけでなく思いやりの大切さを示した。

 

 日本視覚障害者団体連合の竹下義樹会長は開会あいさつで、「視覚障害者が社会参加するためには日常の危険を乗り越えていかなければならない。社会に訴え、安全対策を考えるきっかけになれば」と述べた。

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