ウクライナ停戦交渉巡り日本の調停注目 森本元防衛相が講演
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奈良新聞政経懇話会・新生奈良研究会・阪奈政経文化懇話会・現代奈良研究会・なら21くらぶの4月合同例会が28日、奈良市高畑町の奈良ホテルで開かれ、元防衛大臣で拓殖大学顧問の森本敏氏が「広島G7サミットにおける視点・論点」と題して講演。ロシアのウクライナ侵攻に対するサミット参加国の立場、ホスト国である日本に期待される役割などを話すとともに、核兵器問題についても展望を示した。
冒頭、奈良新聞社の田中篤則社長が「今回は安全保障に関するエキスパートをお迎えした。広島サミットを控え、有意義な話が聞けると楽しみにしている」とあいさつ。講演に期待を寄せた。
森本氏は、国際情勢を読み解く鍵として歴史的な背景を話し、トルーマン米大統領のソ連封じ込め政策に始まる冷戦時代、1989年の米ソ首脳によるマルタ会談を経て、2014年のロシアによるクリミア侵攻、21年のウクライナ侵攻に至ったと説明。
その上で現在のウクライナ情勢は硬直化しており、難民問題を抱える欧州各国は停戦交渉の開始を待ち望んでいると分析。サミット参加国のうち欧州勢が妥協点を探る一方、米英、カナダは強硬姿勢とし、「日本がどう調停できるか。うまく行けば岸田政権は次の段階に進める」と着目点を示した。
また、「広島で開かれるサミットで核の脅威についてどこまで踏み込めるかも焦点」と指摘。併せて既存の国際法順守とともに、サイバー戦争など新しい分野におけるルール作りも課題になると話した。
講演後の質疑応答では米国主導の世界秩序維持の限界や、核三原則の空洞化などについて意見を求める声があり、森本氏は、今後は日本もアメリカ依存から自立に向かう必要があるなどとしたほか、核に関しては兵器でなく小型で安全性の高い原子力活用を進める方向性を示した。
続いて会場を別室に移して、懇親会を実施。奈良商工会議所会頭の小山新造・小山会長が乾杯のあいさつを行い、出席者が親交を深めた。