【動画あり】集落内の各家が八十八カ所霊場に 大和郡山で「番条のお大師さん」

年に1度、集落内の各家が八十八カ所霊場となる伝統行事「番条のお大師さん」が21日、奈良県大和郡山市番条町であった。県内外から訪れた参拝者が88体の弘法大師像を巡礼した。
1830(文政13)年、同地区でコレラが流行したのを機に弘法大師信仰が始まったと伝わる。大師の命日の4月21日、普段は家庭で祭る大師像を納めた厨子(ずし)を、玄関先や門前に出して開帳する風習が続けられてきた。1日で88カ所を巡ると、四国八十八カ所霊場を巡拝するのと同じご利益があるとされる。
集落全体で一般の家が1日限りの霊場となる珍しい行事のため、近年は遠方からも参拝者が訪れるように。四国の霊場を長年巡っているというお遍路さんの姿もあった。戸数は現在80軒となり、1軒で2体を祭る家も。コロナ禍のため参拝者への接待のための餅の用意は今年も自粛した。
番条町自治会の沢村正彦会長(73)は「約190年引き継がれてきた行事。今後も大切に伝えていきたい」と語った。