音羽山観音寺 後藤住職の花だより - 忘れられない父の言葉編 2023年真冬
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住職は高野山尼僧学院8期生でした。今は尼僧学院はありませんが、当時入学するのに、お寺の後見人が必要でした。後藤住職の名前は、後見人になってくれた木津川市にある寺の住職から1文字頂いたそうです。尼僧学院を卒業したのが昭和61年。父から忘れられない言葉をもらった年でもありました。
最初で最後の家族旅行 夏焼温泉で父の言葉
後藤住職は大好きな母親を早くに亡くし、その御霊を弔うために仏門に入りました。
住職の父親は旅行というものを一切しない人だったのですが、尼僧学院を卒業したその年に、木津川市の住職(師匠)、父親と中津川の姉夫婦の5人で旅行に出掛けたのです。
「父と旅行なんて最初で最後だったんじゃないかしら。そんなに遠くには行かなかったのよ。国道153号線沿いの夏焼温泉だったわ」。住職は愛知県出身です。
夏焼温泉にて。35歳の時の住職(左手前)、父親(中央)、師匠(右)、後ろは中津川の姉夫婦
(こちらの写真は中津川のお姉さんに許可をいただいて掲載しています)
住職の父親はこの旅行の数年後に亡くなりました。入院している間、中津川の姉が付き添いをしていたそうです。
「姉の話では、父が弱ってきて言葉で伝えることができなくなった時でも、耳は聞こえていて意識がはっきりしていたみたいね。姉が世話をする時だけ、便がいっぱい出たそうなの」
旅行に行った時、住職は35歳。その住職に父親は、「ワシのことより師匠に尽くせ」と言ったそうです。
もうその師匠もこの世におられないそうですが、その言葉は忘れられない言葉になったそうです。
咲き始めのヤブツバキに似たピンク色のツバキ
ツバキを見上げる住職「もう春ですね」
音羽山観音寺
山の中にある尼寺。桜井市南音羽
JR・近鉄桜井駅下車、桜井市コミュニティバス談山神社行、下居下車、約2km。火曜日閉門。
17日の御縁日が火曜日の時は開門、翌日閉門