千田氏が聖徳太子と上宮で講演、第1回談山文化講座

桜井市多武峰の談山神社(金子清作宮司)で29日、「春のけまり祭」に合わせ、「第1回談山文化講座」が開かれた。同講座は県立図書情報館の千田稔館長が講師を務め年4回開催。第1回は「聖徳太子と上宮(かみつみや)―多武峰のふもと―」と題し行われ、市民ら約40人が参加した。
千田館長は桜井市上之宮の「上之宮遺跡」に「太子の上宮があったと考えて問題ない」と強調。太子の父親である用明天皇の池辺双槻宮(いけのべのなみつきのみや)の南隣に太子の上宮があったとされており、「そのほとりにあった磐余池(いわれのいけ)の位置についてさまざまな論争があり、『池辺双槻宮の所在地がはっきりしない段階では、上之宮遺跡は阿部氏一族の居館跡である可能性を考えるべき』との反論もあるが、私としては決着がついている」と主張した。
千田館長はその根拠について、本居宣長の「菅笠日記」や清少納言の「枕草子」の一文を引用するなどして解説。「太子にとって重要な場所がこの桜井市にあった。市はそれを誇りに思い、観光資源としてもっと利用すべき」と呼び掛けた。