こども未来応援 安心できる居場所づくり - 奈良県内の「こども食堂」紹介
今を生きる・未来を担う こどもたちのために
こども食堂は地域みんなで、こどもを育てていく場
「こども食堂」を運営する団体の輪が広がりを見せています。しかし、実際にどのような活動をしているのか、わからない方も多いと思います。奈良県内でも88団体が創意工夫を凝らし地域の居場所を作ろうと活動しています。
「こども食堂」と言っても、こどもだけではなく大人も利用可能な取り組みもあり、食事の提供だけではなく、学習支援や遊びなど様々な活動があります。決して、ネガティブなイメージではなく、むしろポジティブな活動の場で、こどもたちの笑顔あふれる地域づくりを目指す取り組みです。
こどもを真ん中にした
居場所をつくる取り組み
「こども食堂」と聞いて、「貧困」というイメージを抱かれる方も多いと思います。そもそものはじまりは、東京都大田区にある八百屋さんの店主が、家庭で食事を十分に食べることができないこどもたちがいることを知り、2012年夏に「こども食堂」をオープンしたことです。東京都豊島区のこども支援をしていた団体のメンバーがその活動を取り入れ、あっという間に日本中に活動の輪が広がりました。
しかし、現在活動している団体の多くは、「貧困対策」としてではなく、こどもたちの「居場所」をつくることを目的に活動されています。対象を限定せず、地域のこどもたちを広く受け入れ、地域の中でこどもたちの成長を支え、見守る場所として活動に取り組まれています。
また、こどもの居場所はこどもをきっかけとした多世代間交流や地域コミュニティの形成にもつながります。こどもたちの身近な地域に居場所ができるよう、社会福祉協議会をはじめ関係機関や企業等と連携しながら、各団体が支援等をおこなっています。
地域にこどもの居場所ができると……
こども食堂がこどもたちの居場所となることで、次のような効果が期待されます。
①こどもたちが自分の足で一人で行くことができ、安心して過ごせる場所であり、こどもたちは食事の提供や学習支援を受けたりするなかで、様々な学びや交流の機会が得られます。
②居場所に集まるこどもたちを地域で見守り、支えることで、こどもや家族のSOSを察知することができます。また、地域の方と一緒に食事をすることで、こどもたちの孤食や孤立を防ぐことにもつながります。
③年齢の異なるこども同士や居場所の担い手となる大人など、こどもたちが家族以外の人と接するきっかけとなり、地域の多世代交流にもつながります。
活動内容や名称も各団体によって様々ですが、「こどもを真ん中に」という思いは、各団体で共通しています。安心できる地域の居場所、それが「こども食堂」なのです。
こどもたちのお弁当やおやつ
奈良県内のこども食堂の状況と取り組み
奈良県社会福祉協議会地域福祉課の足利健二係長に、奈良県内のこども食堂の状況と、これからの取り組みについてお話をうかがいました。
足利健二係長の話
県内のこども食堂団体間による“ゆるやかなつながり”を目指し「奈良こども食堂ネットワーク」が平成29年8月に設立され、5年を迎えます。ネットワーク会員である「こども食堂」は88団体あり、それぞれの活動方針に応じて取り組まれています。
こども食堂を始めるきっかけや運営主体は様々ですが、多様なボランティアが関わり、創意工夫を凝らしながら、地域に合った取り組みを行っています。(※今回紹介しているのは、活動の一例です)
こども食堂を活動・運営していくなかで大切にしていることが4点あります。
一つ目は、温かなご飯を囲むことです。温かいご飯を食べながら、気づけばお互いの距離が縮まります。
二つ目は、多様な人や価値観と出会えることです。自分の親ではない人との出会いは、こども自身の世界を拡げ、豊かな経験を得る機会にもなり、将来の可能性を広げることにもなります。
三つ目は、自分自身にかまってくれる人がいることです。顔がつながり、名前で呼んでもらい、ちょっとした会話を通して、家でも学校でもない、第3の居場所となれるのがこども食堂です。
四つ目は、困った時に気づき、受けとめることです。いつもと顔色や反応が違うといった小さな変化に気づき、そっと寄り添うことです。
コロナ禍のここ2年間では、こども食堂が大切にしてきた「食事を囲んでみんなで食べる」ことは難しくなりました。そのなかであっても「こどもとのつながり」を絶やさないよう、お弁当や食材の配付や宅配など、「こどもを真ん中に」おいて活動内容を柔軟に変化させてきました。
これからもこども食堂は、コロナ禍であっても活動の歩みを止めず取り組んでいきます。「こどもとこども、こどもとおとな、おとなとおとな」がつながり、語り合い、学びあい、気に掛け合い、地域に溶け込んだ場所と認識されると、誰もが利用も活動も応援もしやすくなると、普段の日常の1シーンを彩り、豊かになるのではないでしょうか。
こども食堂が気軽に立ち寄れる場所となるためにも、「経済的にしんどい家庭が利用している場所」といった偏ったイメージではなく、地域のなかでこどもたちを守り、育んでいく「こどもたちを真ん中においた居場所」であることを、広く皆さんに知っていただきたいと思います。
奈良県では「奈良こども食堂サポート事業」として「こども食堂コーディネーター」を配置し、県内のこども食堂を県の施策としても支援しています。コロナ禍を経験し、あらゆる「つながり」の大切さを再認識したこの2年間、地域のなかで「こども食堂」を見かけた際は、利用や応援をしてみてはいかがでしょうか。
メモ
・会員団体の詳細情報、サポーター企業の詳細 は こちら
https://kodomonara.com/pages/23/#block81
食材の提供や活動資金の寄付、会場のご提供などをお考えいただける方はこちら
奈良こども食堂ネットワーク
〒634-0061 奈良県橿原市大久保町320-11
TEL:0744-29-0100
FAX:0744-29-0101
奈良県内 こども食堂
県内88団体の中から、今回は協力いただいた12団体を紹介します。
記事内の写真は、各団体より提供いただいたものです。複製、転載・転用等の二次利用を固く禁止します。
〈①活動エリア ②開催場所 ③開催頻度〉
活動の様子は動画でもご覧いただけます。
奈良市
歩味こども弁当プロジェクト あゆみこども食堂
①大宮・三笠、若草・春日地区
②奈良市三条宮前町2番1-2号 ごはんや歩味
③◆お弁当配布(月2回) 第2・3火曜日 8:30~10:30
◆会食型こども食堂(月1回) 第4火曜日 17:00~19:30(2部制)
2022年6月より奈良市子ども等の見守り強化に参加し、お弁当・菓子類・日用品などを宅配。他シーズンに合わせてイベントを計画・実施。
こども食堂を利用する事に対して世間ではマイナスイメージをお持ちの方が多いようです。私達はこども達と地域の人が家でも学校でもなく食を通してぬくもりを感じ気軽に何でも話ができ安心して頂く場所作りと、少しでも働くお母さんのストレス解消のお手伝いができればという思いで活動しています。
こどもひとりで簡単に済ませる食事は栄養のバランスも悪く身体の成長にも影響を及ぼし会話を楽しむ事もなく寂しいだけの食事時間となります。
すべて手作り無農薬野菜の「ごはん」をみんなと一緒に食べて頂き、こども達が食べることの楽しさ・喜びを感じて頂きたいと思っています。会食型こども食堂はこども達にも勿論ですがお母さん方の輪も広がっています。
問い合わせ/歩味こども弁当プロジェクト
TEL:0742-34-7878 E-mail:[email protected]
NPO法人キッズスマイルサポート スマイル食堂
①都南中学校区
②奈良市南永井町32-1
③◆毎月第2・第4土曜日(月2回)
2021年から子ども食堂を開始。飲食店の営業許可を取得し、子ども食堂時には、食品衛生責任者や管理栄養士の指導の下、衛生管理とバランスの良い食事を提供している。施設内で食べることも可能であるが、昨年度は、新型コロナウィルス蔓延防止のため、お弁当の配布を行っています。
「人」に「良」と書いて「食」となります。その字のごとく、食事の時間は人にとって安らぎの時間であり、未来を育む時間にも繋がります。私たちは「食」と「未来」を考えた時、子ども達に良い食事を提供することが一番だと考え、子ども食堂を始めることに致しました。地元で取れた食材を使った「手作り弁当」を笑顔いっぱいで食べてもらい、地域の皆さんと一緒になって、より良い未来を育む活動にして行きたいと考えております。
問い合わせ/NPO法人キッズスマイルサポート
TEL:0742-61-3000 FAX:0742-61-5000
おかえりスタディー教室
①大宮小学校区とその近隣地域
②リリースクール(地域の空き店舗)
ぷろぼの食堂
③◆学校のある月・水・木曜日
学校の帰りに活動場所に立ち寄り、おやつを食べてから自主学習をするという居場所作りの活動。
学年のちがう子とお友だちになったり、地域スタッフや大学生のお兄さんお姉さんにわからないところを教えてもらったりしながら、学習習慣を身につけます。
学校から帰っても一人ですごしたり、夕食が遅かったりすると、スナック菓子やフライ菓子でお腹を満たしてしまい、落ち着かないまま学習にも身がはいりません。お腹にたまるパンやお饅頭を食べると気持ちが落ち着いて、集中力も高まります。子どもたちの学びを応援したいと思っています。
問い合わせ/NPO法人大宮地区社会福祉協議会
TEL:070-1779-0038 E-mail:[email protected]
大和高田市
おひさん食堂
①高田小学校区
②日の出東本町事務所 6月に移転しました。以前は健生荘1階
③◆毎月1回(基本的に第3水曜日)17:00〜18:30
◆大人:300円、こども(高校生まで):無料
地域の子育て世帯や1人住まいの高齢者等の居場所づくりとして開催しています。コロナ前までは、夕食を皆で食べるという内容でしたが、2020年5月以降はお弁当の配布と地域・企業・土庫病院の職員・職場からいただいたお菓子や野菜、おてらおやつクラブやフードバンクならからの食材等お弁当とともに配布しています。
2022年6月で60回を迎えました。こども食堂というとこどもの貧困対策とよく言われるのですが、むしろ地域の居場所作りを目指しています。月に1回くらい、働くおかあさんやおとうさん、高齢者の方もお弁当を食べてゆっくりしてもらえたらと思っています。コロナが落ち着いたら、また食事の提供を目指したい。
問い合わせ/おひさん食堂(健生会友の会内)
TEL:0745-22-2989(月~金 9:00~17:30)
大和郡山市
せいじゅん たすけあい こども食堂
(文科省、大和郡山市家庭教育支援チーム、NPO法人 せいじゅん たすけあい こども食堂)
①大和郡山市及び奈良県全域
②大和郡山市南部公民館 及び 法人本部(大和郡山市筒井町1598)
③◆年間約210回以上
こども食堂、学習支援、プログラミング教室、アニメ・イラスト・グラフィック講座、マニーズカフェ、こども食堂農園での食育活動・農業体験、社会見学、子育て支援講演会、ひとり親困窮家庭への生活支援、子育て相談支援、家庭教育支援、親子パン作り教室、こども服などのリユースもったいないプロジェクト 等
「せいじゅん たすけあい こども食堂」では、「経済的な貧困」、「つながりの貧困」、「経験の貧困」の解消のため、「共食と食育、様々な学びを通じてこども達の生きる力を育む」ことをミッションとし、子ども食堂を中心に、プログラミング教室やイラスト講座を含む学習支援やマミーズカフェ等の子育て相談支援、ひとり親困窮家庭への支援などを行っている。 参加者は延べ4356人(2021年実績)。
行政機関や学校、社会福祉協議会、奈良こども食堂ネットワーク、NPO、企業等の民間団体など、多方面で連携体制を築くとともに、250人を超えるボランティア、スタッフが支援活動に参加するなど、地域や社会と協働して活動を実施している。
問い合わせ/NPO法人 せいじゅん たすけあい こども食堂 事務局
TEL&FAX:0743-56-1112
E-mail:[email protected]
チューリップ食堂
①大和郡山市内
②社会福祉会館
③◆月に1回 学習支援と、食事提供、遊び場の提供
チューリップ食堂は、まだ始めたばかりで、毎回勉強させてもらっています。
子どもは、1歳から中学生まで幅広く参加してくれます。学校には行けてない子が参加してくれたり、親同士の交流ができたり、ホッとできる空間づくりに努めています。
問い合わせ/北野伊津子
TEL:080-5333-0125
天理市
ニコニコ食堂
①前栽小学校区
②奈良県天理市富堂町68-1 都賀詰所
③◆週2~3回 お楽しみこども会、こども食堂、お弁当配布、夕食頒布、フードパントリー、 学習支援、産前産後サポート事業
ニコニコ食堂は、関わる人みんなが笑顔になれる場所を目指しています。月に21回、様々な活動をしています。天理市以外の方も利用することができます。お知らせは公式LINEで配信しています。
問い合わせ/老沼(オイヌマ)
TEL:070-3179-0076
橿原市
Genki Future Dreams47
①橿原市近隣
②橿原市四条町 げんきカレー内
③◆開店時間はいつでも子ども食堂 水、木、土、日曜日 11:30〜14:00
◆無料学習支援 水、土曜日 18:00〜21:00(勉強後、子ども食堂としてみんなで食事をします)
子ども食堂、無料学習支援、子どもの居場所活動
子ども達が気軽に立ち寄れる駄菓子屋の延長の場所として活動しています。ボランティアと一緒に勉強もしてご飯を楽しく食べましょう!
ABCテレビさんの密着取材動画
問い合わせ/NPO法人 Genki Future Dreams47
TEL:070-1380-7476
生駒市
たわわ【地域・居場所】食堂
①生駒市全域
②まほうだがし屋チロル堂内
③◆毎週水、第4日曜日 モーニング 8:45スタート/大人200円、子ども0円
駄菓子屋&夕方食堂 14:30~18:00/大人300円、子ども100円
人と自然が(学び)と(食)で繋がり『自ら育つ力』を信じ生きやすい社会を作る事を目的とし、フリースクール・個人塾・子ども食堂を運営しております一般社団法人和草です。立ち上げのきっかけは先進国日本の貧困率でしたが、回を重ねる毎に「地域が持つ課題が、それぞれの子ども食堂の活動目的でいいのでは」と気付きました。多忙な子ども達や子育て世代、1人暮らしの高齢者さんが、ホッとひと息つける場所作りとフードロス軽減を結びつけるという観点からフードバンクや地域の方からの寄付食材を主に調理しコミュニケーションを図りながら温かいご飯を食べれる居場所作りをしています。子どもだけの子ども食堂ではありません。みーんなの胃袋をつかみたい。色んな仕掛けをしてお待ちしております♪ お気軽にあそびにきてください。
問い合わせ/一般社団法人和草(にこぐさ)
TEL:080-1450-2788(みぞぐち)
香芝市
こども食堂ぼちぼっち
①香芝市中心
②庭カフェ・ぼちぼっち
③◆月1回 第1日曜日 11:00~14:00 テイクアウトによるお弁当の配食
始めることによって共感していただけ、お手伝いいただけるスタッフも広がりを見せています。現在は行政との連携がなく、全てボランティアでの活動となっています。より良い活動を継続していくには、今後、行政や関係各所との連携を深めていく必要があると考えております。
問い合わせ/庭カフェぼちぼっち
TEL:0745-79-8153(青木)
安堵町
安堵こども食堂
①安堵小学校区を中心に活動エリア拡大中
②大道教本部
③◆月2回 第2土曜日 モーニング・ランチ 7:30〜12:30
第3日曜日 クッキング&ランチ 10:00〜14:00(食べに来るだけでもOK)
幼児〜高校生:無料
大人: モーニング200円 ランチ300円
七夕、夏まつり(夜店・盆おどり・イルミネーション)、フェスタ(11/3)、クリスマス会、年越し・正月イベント、お年玉プレゼントなど
幼児から高齢者まで、どなたでも参加OK。感染対策を十分にしています。参加してつながり、笑顔になりましょう。
問い合わせ/飯田(安堵こども食堂代表)
TEL:090-9879-0802
川西町
おれんじキッチン
①川西町内
②天理教糸井分教会
③◆月に一度
新型コロナウイルスの感染の影響で、会食スタイルではなく、お弁当を作り、利用者の方に受け取りにきて頂いています。毎月違うメニューで、当日の朝から作り、夕方に取りにきて頂いています。
「今日は、夕ご飯を作る元気がない~。」とか、「赤ちゃんのお世話で、ご飯を作る余裕がない。」など、様々な理由でお困りの子育て世帯の方に、少しでもホッとできる時間を過ごして頂けたらいいなと思い、手作りお弁当の配布を始めました。ご家庭で夕食を作る時間が空いた分、ゆったりと過ごせたり、子どもにいつもより優しく接していただけたらいいなと思います。
新型コロナウイルス感染の影響で、今はお弁当を配布していますが、今後、会食スタイルで活動していきたいと考えています。
こども食堂の場を通して、親御さん同士、子ども同士の交流を図り、賑やかな雰囲気を感じてもらったり、困りごとや悩みを話せる場になれたらいいなと思います。家庭や学校とはまた違った、一つの場として利用して頂けたら幸いです。今は、実現に向けて、必要な備品などを揃えているところですが、会食スタイルになった時の配膳や片付けなど、ボランティアの方がいないのでこれからお声かけさせて頂こうと思っています。
問い合わせ/おれんじキッチン
TEL:0745-44-0077 または、乾三千子090-5095-9687