長旅における楽しみの一つは「駅弁」。普…
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長旅における楽しみの一つは「駅弁」。普段はコンビニ弁当でも、非日常の場である長距離の鉄道旅には「少しリッチに」という心理が働くものだ。
5年前の出張の帰り、東京駅・新幹線ホームでJR東海の「深川めし」を買った。アサリやアナゴなど、海の幸が詰め込まれていて楽しかった。
九州へ帰省の折には博多駅で、竹の皮に包まれた「いわしずし」を必ず買っていた。酢でしめたイワシをおぼろ昆布で巻いた棒ずしだったが、2年前に行った際には店頭になかった。コロナ禍の中で消えてしまったようで、残念な思いをした。
最近では、東海道本線と北陸本線の分岐点、米原駅で「湖北のおはなし」という名物駅弁を販売していた業者が2月で撤退。1889(明治22)年創業の、国内でも有数の老舗だった。
北陸新幹線の金沢から敦賀への延伸で、関東方面から福井方面へ向かう人たちがルートを変えたために、米原経由の利用者が減ったことなどが影響したようだ。米原―敦賀間は距離が短く、駅弁をゆっくり味わうには不向きだ。
旅の文化、駅弁が消えるのは寂しい。(恵)