今、昭和の時代がクローズアップされてい…
今、昭和の時代がクローズアップされている。セクハラ、パワハラなど負の遺産もあれば、「昭和の古典」として大切にしなければならないのもある。
1948年誕生の松竹新喜劇。同じく大阪本拠でも、ギャグ主体の吉本新喜劇に対して、笑いと涙の人情話が特徴だ。全盛期の藤山寛美時代の1987年には244カ月連続公演を果たした。
数多くの演目の中から人気投票1位に選ばれた「人生双六」を昨年12月に観賞した。確かに名作だが、筆者には「寛美さんが演じなければ面白くないのでは」と心配もあった。
ところが、貧しい2人の男が出世を夢見て再会を約束するという、いかにも昭和の雰囲気満点の作品を、若手団員らがフレッシュに熱演したのだ。
一緒に観劇した東京出身平成生まれで、松竹新喜劇をまったく知らなかった女性は、「大笑いして泣ける、こんな喜劇があるなんて」と感激していた。
懐かしく味わいのある昭和の古典に新しい風を吹き込んで令和に蘇えらせる松竹新喜劇。「人生双六」「2階の奥さん」の昭和2題が4月に大阪松竹座で上演される。(栄)