文化財の分野でも、コンピューターで作り…
文化財の分野でも、コンピューターで作り出した「拡張現実(AR)」や「仮想現実(VR)」の活用が進んでいる。18日の本紙に詳しい。
3次元CGで再現された古代寺院の伽藍(がらん)がスマートフォンで見られたり、普段は非公開の石室内を擬似体験できたりする。スマホに現れた伽藍を現地の風景に重ねれば、タイムスリップ感覚が味わえる。
一方、出土遺物はどうだろう。注目する人は少ないかもしれないが、博物館に並ぶ一見地味な土器や金属製品もそれぞれ目的があって作られ、人の営みを支えてきた。
煙を上げる工房の様子や使われた場面を想像することで、遺物を立体的によみがえらせことができる。
橿原市博物館の正式名称は「歴史に憩う」が上に付く。県立橿原考古学研究所長だった故菅谷文則さんが「歴史を体感できる博物館」として「市民のサロンとなるように」との思いを込めて提案した。
CGでよみがえった古代寺院も遺物から浮き上がる生活も、そこに心を遊ばせるのは豊かな想像力があってこそ。遺跡で博物館で、歴史の体感を楽しみたい。(増)